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「ファイナルレビュー <守備的サッカーの逆襲>」FGO vol.124 

itch の Football goes on vol.124
ロシアワールドカップ その14


「ファイナルレビュー <守備的サッカーの逆襲>」


終わってしまいました、サッカー馬鹿のための1か月にわたるお祭りが。27時キックオフ明け勤務の地獄が懐かしい今日この頃です。

フランスが二度目の戴冠。シャンゼリーゼ通りが燃えています。いいですね、自国がワールドカップに優勝するというのはどんな気分なのでしょうか?


今回はついに結末を迎えたファイナルのレビューと、今大会の僕の琴線に触れた各itch賞を発表していきます(笑)


迎えたファイナル、結果は4−2のスコアでしたがこの数字は内容を表していないような気がしています。


ゲームを支配していたのはクロアチアでした。特に前半。2−1というスコアが何かの間違いではないかというほどにクロアチアは内容で完全に上回っていたと思います。

前半のクロアチアの特に素晴らしかったところがプレスバックです。ボールをロスト時に奪い返すプレーですが、クロアチアのプレスバックは面白いように決まり、完全にボールを支配することに成功していました。

「ポゼッション型」チームはそのショートパス主体のスタイルがゆえに、どうしてもボールロストのリスクも増大します。

前半のクロアチアはこの「ポゼッション型」チームのウィークポイントに対するひとつの答えでしょう。


クロアチアの選手は、特にパスミスに対する反応が尋常ではありませんでした。パスがカットされると即座に、ボールがまだイーブンな状態のうちに必ずカットされた選手が即座に寄せ、周りも連動。

面白いようにボールを奪い返していき、高い位置からの連続攻撃を仕掛け、フランスの強固なディフェンスを何度かこじあけていました。


パスをつなぎ、走る。チャンス時の攻撃は手数をかけずにシンプルにシュートまで素早く持ち込む。前半のクロアチアのプレーは全ての「ポゼッション型」チームのお手本です。

しかしその努力は結局はセットプレーでキャンセルされてしまいました。内容もゲーム支配もしているのに気づけばスコアは2−1。


割に合わない。この「ハイリスク・ローリターン」が近年「ポゼッション型」チームが激減している原因だと思います。


前にも書きましたが時間も選手も縛りの多いナショナルチームでは、現実的な「堅守速攻」の方がマッチしてします。

先制され追う展開になったクロアチアの足は、ここまで3試合連続延長という影響で後半15分あたりで尽きてしまいました。それを待ってましたとばかりにフランスがカウンターを浴びせ、ミドル2発で結局4−2。

「堅守」と「速攻」のクオリティでたしかにフランスは他のチームとの違いをみせました、それとちょっとした幸運と、このデシャンのフランスが優勝したというところが、全体的に守備的だったチームが好成績を残した今大会を象徴していると思います。


数年前まではヨーロッパはバルサを筆頭に「ポゼッション型」チームによる「攻撃的」な時代が続きました。

しかしその「ポゼッション型」チームの対抗戦術として、古臭いはずの「堅守速攻型」チームが進化をとげて再び表舞台に登場してきた。

レアルマドリードのCL三連覇、そして今回のフランスの優勝。「守備的」な時代の逆襲。その流れを感じた今大会のファイナルでした。


はたしてそんな時代に我が日本代表はどの方向性に進むのか?


メディアではやれクリンスマンやら、いや日本人監督でいくべし!など早くも次期代表監督候補が話題にあがっています。


今大会の検証、反省を置き去りにして。


この攻撃的サッカーから守備的サッカーへの転換期という時代の変わり目にもかかわらず、またしてもこの国は悪い意味でガラパゴスなことをしようとしています。

3度目のベスト16、さらにベスト8まであと一歩というところまできた結果に、この4年の数々の失態が全て無かったことになろうとしています。

検証がないままに、あやふやな「パスサッカー」「攻撃的サッカー」が「日本のサッカー」になっちゃって本当にいいのか?

西野監督が結果を出したので「やっぱり日本人の良さを引き出すのは日本人監督」で本当にいいのか?


その辺を次回、書いてみたいと思います。

それでは最後に各itch賞の発表です(笑)超個人的見解なんで、かんべんね!


<大会ベストマッチ>


ラウンド16 

フランス×アルゼンチン




<大会ベストチーム>


ベルギー


<大会ベストゴール>


クォーターファイナル 

ブラジル×ベルギー デブライネ 31"




<大会ベストアシスト>


グループH

ポーランド×コロンビア ハメス・ロドリゲス 75"




<大会ベストイレブン>

「4−1−2−3」

GK クルトワ (ベルギー)
DF ヴァラン (フランス)
  ゴディン (ウルグアイ)
  ムニエ  (ベルギー)
  長友   (日本)
MF カンテ  (フランス)
  モドリッチ(クロアチア)
  デブルイネ(ベルギー)
FW アザール (ベルギー)
  ムバッペ (フランス)
  ペリシッチ(クロアチア)

監督 ロベルト・マルティネス(ベルギー)

<大会MVP>

ムバッペ(フランス)


<itch賞>

ドウグラス・コスタ(ブラジル)

「ファイナルプレビュー <未完成の2チームの激突>」FGO vol.123 

itch の Football goes on vol.123
ロシアワールドカップ その13


「ファイナルプレビュー <未完成の2チームの激突>」


1か月におよぶサッカーフェスティバル、ワールドカップもいよいよファイナルを迎えました。

決勝の地ルジニキスタジアムで国家を歌うことが許されたのはフランスとクロアチア。

はたして2回目の優勝をフランスが成し遂げるのか、それともクロアチアの初優勝となるのか?

今回はそんなファイナルを前にして、セミファイナルの死闘を振り返りつつ、決勝の個人的な見どころなんかを書いてみたいと思います。


さて、前回に「時代はロングカウンター?」というテーマでこれまでの大会を振り返ってみたのですが、セミファイナルでもその傾向は見られました。

というよりも「勝てば決勝」というシチュエーションが、よりサッカーを守備的にしたという印象です。

「ワールドカップはクォーターファイナルが一番面白い」という意見が昔からよく聞かれます。

その大会のグッドチーム同士が激突し、選手のコンディションも良く、なによりも無欲で勝負ができるクォーターファイナルには確かにその大会のベストマッチがよく生まれます。

逆に言うとセミファイナルからその先は内容うんぬんよりも正真正銘の「勝ちにいく時」。

少しでも勝利の可能性を上げるために、リスクは徹底して排除されがち。

その結果、セミファイナル以降はいわゆる「固い試合」が基本的です。


はたして今大会のクォーターファイナルもそうでした、両試合ともクローズドなジリジリとした展開でした、


日本戦で大逆転してから勢いにのるベルギーに、あえてボールを持たせることで得意のカウンターを封じ、のらりくらりといなしながらセットプレー一発で試合を決めた大人のフランス。

僕の中でMOMはカンテです。この試合でデブルイネが何もできなかったのは基本カンテが封殺していたからで、ベルギーの攻撃には最後の仕上げが欠けていました。

今大会のフランスのディフェンス、ヴァラン、エムティティ、カンテのトライアングルはバイタルエリアに強固なブロックを作り、突破するにはディマリアが決めたスーパーゴール級のプレイが必要で、ここがフランスのストロングポイントだと思います。

ウィークポイントはフィニッシャーの不在。ムベッパは爆発力はあるものの消える時間も多く不安定。グリーズマンはチャンスメイクに忙しく、本来の役目であるジルーはここまでノーゴール。

なので「堅守速攻」でいい形は作れても「決定力」の面で見劣りし、絶対的な強さを感じないまま、ファイナルまで突破してきたという印象です。


対するクロアチアはトーナメント1回戦からセミファイナルまで、全て延長戦に突入して勝ち上がったという大会新記録を樹立。

要するに「守り切れず」「攻め切れない」という、完成度の低い「ポゼッション型」チームが陥りやすい状態のままここまで勝ち上がってきたという印象。

このチームのキープレーヤーはモドリッチとラキティッチと思われがちですが、僕はペリシッチとブルサリコ、二人のサイドプレーヤーがカギだと見ています。

どうしてもボールを大切にパスをつないでいく「ポゼッション型」チームの動きは「横」になりがち。

サイドチェンジを繰り返し、相手の陣形を揺さぶり、隙を作るためですが、その隙を突く「縦」の動きがないと「攻め切れない」し、パスの数は基本的にボールロストのリスクと比例するので相手にボールを奪われやすくなり「守り切れない」状態も誘発します。

そんなチーム状況に絶妙なスパイスをもたらしているのが、左サイドのペリシッチと右サイドのブルサリコだと思うんです。

特にペリシッチのゴールへの直線的なプレーにクロアチアは何度も助けられてきました。走力、テクニック、そしてキツイ時間帯でもあくまでゴールに向かう攻撃精神。スアレスの香り。

右サイドバックのブルサリコも同様です。この左右のサイドに縦への推進力を持っている点が、クロアチアはここまで消えていった「ポゼッション型」チームとの違いでしょう。

スペインにヘスス・ナバスがいたら。ドイツにラーム、サネがいれば。「ポゼッション型」チームにはスイッチを入れる「縦」の選手が必要なんです。


余談ですがこれは同タイプの日本にも突きつけられる問題です。乾というサイドアタッカー、長友の推進力の後釜が、日本にも不可欠だと思います。


整理をするとファイナルに進んだフランス、クロアチア、この2チームは6試合を経過した今の段階でもチームがまだ完成していないというのが僕の印象です。


ファイナルは「堅守速攻型」×「ポゼッション型」の構図だと思っています。ですのでかみ合わせはいいはずです。

選手の質ではフランスですが、チームの成熟度はクロアチアと見ています。ここまで延長3試合合計90分。クロアチアは他のチームよりも1試合多くこなし、ファイナルは「8試合目」です。伊達じゃありません。

その事実が吉とでるか凶と出るか。コンディション面での不利か、連携面での有利さか。なかなか読めません。


その辺を気にしながら、ファイナルを楽しもうと思います。


3位決定戦?あれはもう「イングランド代表」×「プレミアリーグ外国人選抜」みたいな、Jリーグオールスターを観る感覚で無邪気にアザールのドリブルを堪能します(笑)


それではまた、ファイナルのあとにでも!

「ベスト8総括 <時代はロングカウンター?>」FGO vol.122 

itch の Football goes on vol.122
ロシアワールドカップ その12


「ベスト8総括 <時代はロングカウンター?>」


いやー観ました?デブルイネのリアルイーグルシュート。松山君ばりの。あとアザールとドウグラス・コスタの「お前がそうなら俺はこういくね」的なドリブル対決。

どっちも超絶なんですが、僕的にはドウグラス・コスタ、なんすかありゃ。ファベイラの空き地感丸出し、ストリート直系フェイント出しまくりドリブル。だーれも止められやしない。しかし守備は一切しないからスタメンじゃないという(笑)。俺の中でロッベンの後継者をやっと見つけました。

あとモドリッチ。前から世界で一番好きなゲームメーカーで、モドリッチ観ながらサッカーを学ぶ日々なんですが、何が好きって一切プレーを間違えないところだったんですけど、そのモドリッチがプレー原則とか無視して強引に間違えまくってでも、ボール取られまくってでも、それでも攻めまくった、あの延長前半。あの天才にそうさせる大会。


ビバ、ワールドカップ!やっぱりワールドカップベスト8の試合は面白い!


早いものでロシアワールドカップのクォーターファイナル4試合が終わり、ベスト4の国が出そろいました。今回はここまでのロシアワールドカップを観てきて感じた、今大会のトレンド、傾向について書いてみたいと思います。


決勝トーナメントに入りここまで12試合。4つの勝者と12の敗者がここまで生まれた訳ですが、そこに面白い傾向があります。

今大会は「堅守速攻型」チームが猛威をふるっているということです。

ベスト4のうちでもベルギー、フランス、イングランド、3チームがいわゆる「堅守速攻型」です。

それ以外にもウルグアイ、スウェーデン、そして開催国のロシア、グループリーグや決勝トーナメント1回戦でアップセットを演じたチームの多くが「堅守速攻型」。

その対極である「ポゼッション型」。筆頭のスペイン、そして前回王者のドイツ、アルゼンチン、日本などは早々に舞台から姿を消してしまいました。

2010年南ア大会でスペインが頂点を極め、そこから続いた「世界総バルサ化」の流れ。そして2014年ブラジルでもドイツが証明した「ポゼッション型優位」の流れが今大会で大きく変わろうとしている気がします。

「堅守速攻型」とひとくくりにしましたが、「堅守速攻型」にも様々なタイプがあります。近年のトレンドは「プレッシング」でした。

高い位置から「プレッシング」を行いボールを奪い、相手の守備が揃わないうちにそのまま高い位置から攻め切る「ショートカウンター」。

これこそが理論上もっとも効率のいいサッカーだと、その精度、強度を各チームが競うというのがここ数年のヨーロッパの流れでした。

しかしその流れに反するチームがなんと史上初(カップ戦時代はのぞいてリーグ方式になってから)のCL2連覇を達成してしまうのです。


そう、ジダン率いるレアルマドリードです。


ジダンのマドリーは「堅守速攻型」でもその方法論は「リトリート」からの「ロングカウンター」。

バイタルエリアにしっかりと守備ブロックを作り、低い位置に引く守備「リトリート」で攻撃を跳ね返し、セカンドボールを拾ったら低い位置から少ない手数で前線に残した選手にボールを預けて攻め切る「ロングカウンター」。

世界が、その本家のイタリアでさえが見放した非効率的な守備方法です。

なにが非効率的かというと、守から攻に切り替わった時でしょう。まず前線に残した選手にパスを通すには高精度のロングパスを通す選手が必要です。

さらにそのパスが通ったとしても、前線に残った選手はほぼ一人でカウンターアタックを完結させる必要があります。

そのため「堅守」はできても「速攻」が成立しない。結果、「堅守」一辺倒になり、相手チームに一方的にゲームを支配され、90分間守り切ることができず破綻する。

それが世界から見放された旧「ロングカウンター」でした。

しかし、爆発的な運動量でセカンドボールを制すことができる選手。高精度のロングパスを確実に通せる選手。そしてたった一人でカウンターアタックを完結させゴールを量産する選手。そんな夢のようなタレントが同時に複数いたとしたら?

化け物のようなスーパースターで「堅守」の安定性はそのままに「速攻」を成立させてしまった。

それがジダンのマドリーです。

「プレッシング」からの「ショートカウンター」は決まれば効果は絶大です。ただし機能させるにはチームに複雑な戦術を浸透させ、チームを走らせ、失敗すればGKと即1対1になるというリスクを管理し、消耗度が高いので選手の疲労もをマネージメントしなければいけない。

どうしても「ハイリスクハイリターン」であり「机上の空論」になりがちです。

そんな高級戦術を抱える選手の質でできない弱者は、しょうがなく「リトリート」からの「ロングカウンター」で戦っていた。

いわば「弱者の戦術」です。ところがまばゆいタレントを抱える本来ならば「強者」が「弱者の戦術」をやりだした。

発端はモウリーニョのチームだったと思います。それにシメオネのアトレチコが続き、そしてジダンのマドリーの出現。

実はこのシンプルな守備戦術はナショナルチームと相性がいいんです。

限られた日数で、しかも基本的に補強ができないナショナルチームではどうしても高度で複雑な戦術は機能させるのが難しい。

チームを作る時間が足りない分、どうしても戦い方はシンプルにならざるをえません。

そんな条件の中、国内のクラブチームのユニットをそのまま移植する方法論で、中身はバルサのスペイン、バイエルンであるドイツ、この2つの国だけがクラブサッカーレベルの戦術をワールドカップに持ち込むことに成功していた。

しかしその母体であるクラブチームのサイクルが切り替わるタイミングと連動して、スペインもドイツもかつてのレベルで複雑な戦術を機能させることが難しくなってきた。

そんな「ポゼッション型」チームがレベルを維持できなくなったという事情が、「堅守速攻型」の躍進の追い風にもなっているようです。


そしてもひとつが選手のフィジカル能力の飛躍的な向上ではないでしょうか。


「ロングカウンター」の非効率な点は、いわゆる無駄走りの多さもありました。

マイボール時にカウンターをしかけようと思えば、低い位置から相手ゴールまで激しいディフェンスから休む間もなく長距離を全力疾走しなければいけません。

結果、時間の経過とともに「堅守」も「速攻」も疲弊していき、どちらも成立できなくなってしまう。

ところが近年のサプリメントやトレーニングの進化により、サッカー選手のアスリート化はますます加速。

もはやどんなにテクニックがあってもスピードや運動量の無い選手はピッチに立てない時代になりつつあります。

その流れが「ロングカウンター」の非効率性を覆い隠している。

結果「ロングカウンター」のメリットだけが際立つ。

ただしくどいようですが、それには並みの選手じゃ成立しません。タレントが不可欠。


あらためて生き残った4チームをそんな視点で見ると、ひとつのチームが浮かび上がります。


前提である固い守備陣。激しい運動量で相手の中盤を潰しセカンドボールを拾える中盤。長短高精度のパスで低い位置からカウンターの起点になれるゲームメーカー。そしてたった一人でロングカウンターを成立させる化け物のようなアタッカー。

さらに自陣ゴール前から相手ゴールまでたった5秒で完結する超高速カウンターを、90分を超えた時間帯で実行できる爆発的なフィジカル能力も備えている。


そう我が日本代表を大逆転で沈めたベルギーです。


おまけに、決定的な1点もののピンチをスーパーセーブで無かったことにしてくれる守護神までいますこのチームには。

現実路線でやはり「ロングカウンター」を採用していた優勝候補ブラジルも、カウンター合戦の末に力負けしてしまいました。

個人的に現時点でロシアワールドカップ優勝の本命はベルギーだと思っています。

ベルギーの不安な点をあげるとすれば「大きな大会での経験の無さ」でしょう。

確かに選手たちは所属チームでCLなど大きな大会での経験があります。

しかしやっぱりワールドカップは別物なんです。20回で8か国しか優勝チームが生まれない新参者には厳しい大会。

率いる若きスペイン人監督ロベルト・マルティネスも「ウィガンでFAカップを取ったけど同じ年に降格させた」という一発屋的な実績のみで、ナショナルチームの監督は初経験。

「勝てば決勝」というセミファイナルはこれまでの大会でも、プレッシャーに負け良いチームが消え去るタイミングでもありました。

しかも相手は優勝経験国、しかもその時のキャプテンが率いるデシャンのフランス。

今大会の事実上の決勝戦であるセミファイナル、ベルギー×フランス。ベルギーにとっての試練の時です。

9番目の優勝国が生まれるかは今夜の大一番にかかっています。平日27時キックオフ。ええ、分かっています。しゃーないス。睡眠時間を捧げましょう!


というわけでそろそろ仮眠を取ろうと思いますのでこの辺で。それではファイナル前にまた!

「日本×ベルギー戦レビュー <美しい敗者に逃げるな>」FGO vol.121 

itch の Football goes on vol.121
ロシアワールドカップ その11


「日本×ベルギー戦レビュー <美しい敗者に逃げるな>」


負けても3戦が保証されているグループリーグと違い、負けが即、大会からの敗退となる決勝トーナメント。

ムバッペの爆発でメッシが大会から去り、カバーニの冷徹な2発でロナウドも敗退。ロシアの城壁の前にスペインのティキタカは止められました。

ロシアワールドカップ決勝トーナメント1回戦。ラウンドオブ16では多くの事件が起こっています。

そんな8試合の中でも全くかすむことのない衝撃的な試合でした。まさか自分の国の代表が、ワールドカップでこんな凄い試合を見せてくれるとは!


こういう試合を観たかったんです。なぜ俺はロシアにいないのかっ!この嗅覚のなさ!


そんな訳で今回はラウンドオブ16、ベルギー対日本を振り返ってみたいと思います。


まずこの試合を振り返るのには、やはりグループリーグ第三戦ポーランド戦から考えなきゃいけません。

敗退の可能性もあった6人ターンオーバーの大バクチ、その大バクチの効果がやはりこの試合にはありました。

中7日の休養ができた香川、原口のコンディションはかなり良く、それが試合開始そうそうに出ました。


キックオフから日本はベルギーの3バックとウイングバックに前からプレッシングをして、香川のオープニングシュートの形を作りました。

最初の15分の入りは完璧で、前線の4人の動きにはキレがあり、様子を見て少し引いたベルギーを押し込むことに成功。

その後、徐々に圧力を増したベルギーの攻撃にもしっかりと走力で上回り、カバーとプレッシングを繰り返し、押し込まれながらも、0−0で前半を折り返せました。

最初の15分で作った貯金をうまく残り30分で使い、まず「先制点を与えない」というミッションに成功。


焦るのはベルギーです。


この試合、失うものが多いのはベルギー。間違いが起きて困るのはベルギー。PK戦というロシアンルーレットをしたくないのはベルギー。

迎えた後半、ベルギーは前半からの流れからいきなり前がかりに出てきました。

後半開始早々、左サイドのカラスコとアザールが深く日本の右サイドをえぐります。

ベルギーはアザールが左ウイングのポジションにほとんどいなくて、いても守備にはほぼ戻らず、左サイドのカバーはカラスコがメインで担当していました。

日本は前半からその穴を利用しようと意識的に右サイドにボールを集めていたと思います。

このシーンではそのカラスコすらいない、その状況に柴崎が勝負をかけました。

ハーフライン手前からペナルティーエリア前まで、約40m級のスルーパス。必死に戻り触れようとするヴェルトンゲンのつま先がギリギリ届かず、休養充分の原口の全力疾走した右足にドンピシャというとんでもないスルーパス。

原口のあのクルトワでも届かないサイドネットを突き刺す精度の高いシュートも見事でした。日本の先制点はベルギーの穴を狙った必然性の高いものだったと思います。

先制点が生まれ試合は動き出します。お返しとばかりにアザールがスルーパスからフリーでシュート。これはポストに助けられますが、その後もベルギーは強引に縦パスを早めに入れてきて、同点ゴールを力任せにあげようとしていました。

ベルギーの早めの縦パスからマイボールと相手ボールが目まぐるしく変わる、コントロールされていないトランジションの早さがピッチにカオスを描き出したころ、香川にこぼれ球が。

その時の香川のトラップ。こぼれ球をそのまま打つかに見せて、スッとトラップで引いて間を取ったあのプレー。


昔、レアルの会長がジダンを評したコメントを思い出しました。


「ジネディーヌのタッチはレアルマドリードに深呼吸をもたらす」


カオスなピッチに深呼吸の時間。その不思議な間にベルギーのディフェンダー達の足が一瞬止まる。その不思議な間からスイッチ気味にカットインした乾からスーパーゴールが生まれます。


28時にしてはかなりデカい声がでてしまいましたよ、ええ。


リプレイの映像を見ると、無回転のボールが右サイドに向かってスライスしながら落ちてゆき、クルトワの指先から逃げるようにゴールに吸い込まれていきました。

追加点は必然性もクソもないただひたすらのスーパーゴール。香川と乾という二人で完結させた、スーパープレイでした。

この得点から15分間、ベルギーは混乱状態に陥っていました。

攻撃はより強引にチグハグで、ルカクめがけて放り込むか、サイドの選手が一か八か縦に抜けようとしては跳ね返され、カウンターから酒井に抜け出されあわや3点目なんてシーンもありました。


その頃僕は、もう完全にこの試合はもらった、やっぱり今大会で日本はブラジルと当たる運命だったんだ、そしてアキラ・ニシノの恐怖に怯えるブラジルがおかしくなって、大迫とチアゴ・シウバとアリソンが交錯して転々と転がるボールを本田が押し込んじゃって、え、そうするとベスト4はフランス相手?ムバッペ抑えられるか?なんて妄想していましたね。


流れが変わったのは後半20分。フェライニとシャドゥリの同時投入。


ベルギーはフェライニを右サイドの高い位置に張らせて、アザールをトップに上げて、穴であった左サイドをシャドゥリとヴェルトンゲンで固め、3バックを大きく左に寄せてムニエを下げ気味にする変形の4バックに変更。

ほぼ4トップで強引に縦パスを入れるポイントを増やし、守備の穴を埋めつつより前がかりのパワープレーを仕掛けてきました。


「サッカーで難しいのは2−0」という格言があります。


「2−0」というスコアは動きにくい。総攻撃してくる相手に対して守るのか、攻めるのか。

基本的にそこに正解はないと言うのが、僕の見解です。そこでの決断は監督の「哲学」や「信念」の領域だと思っています。

ただ、相手がフォーメーションを変えてきたことに対して、しかもフェライニのパワープレイという分かりやすい動きに対して、「動かない」というのはどうなのか。

僕には日本が後手をふんでいる間に、ベルギーが強引に流れを引き寄せていったように観えました。

そこに来てあの不運なベルギーの1点目が決定的でした。

しかし、あの失点にはそこにいたるまでの必然性があったと思います。

前半の3バックでは、あの場所にヴェルトンゲンはいません。4バックでサイドバックと化したからこそあそこにヴェルトンゲンはいて、そして日本は誰もいなかった。

日本は右サイドでミスマッチを狙ってポジションを変えるフェライニにマークがずれ、自陣に押し込まれる展開に。


せめてここで動いてほしかった。まだ1−2の時点で。


同点にされ、やっと西野監督は動きます。柴崎と原口に替え山口と本田。

これにも疑問があります。特に柴崎と山口の交代です。2−2の同点にされてからの守備的な選手の投入。1手遅い上に、フォーメーションでのミスマッチが起きているのに、フェライニ問題を解決する交代とは言えません。

本田の投入によりボールの避難場所ができたことで、少し状況は落ち着くかに見えました。本田のFKに8年前を思い出していたその時は、延長に入ってどう修正するのかを考えていました。


しかし唐突に結末が訪れます。


あの超高速カウンターはお見事の一言です。4年前のルカクだったら強引に打ってくれたかもしれませんが、モウリーニョのもと成長を遂げたルカクの冷静なスルーがあの超高速カウンターを完結させました。


日本は間違いなく力の限り戦い、大方の予想を超えてあの優勝候補のベルギーを敗退寸前まで追い詰めました。衝撃的すぎる最後が日本の壮絶な敗退をより強調させる感じです。


はたして日本はクライフの名言「負けるときは美しく」だったんでしょうか。


一見そう思えます。そう思いたくなります。でもあのクライフの名言「負けるときは美しく」は下の句で、実は上の句もあるんです。


「勝つときは多少汚くてもいいが、負けるときは美しく」


これがクライフの名言の全文です。


日本はグループリーグ第三戦で「勝つときは多少汚くてもいいが」を実行しました。

まるでそれがひどい事のように賛否両論巻き起こりましたが、クライフも認めているようにそれはサッカーでは昔からよくあること。


多少汚くてもいいがまず勝つことを目指し、それでも力が及ばない時でも、負けを恐れず、悔いなく戦え。おのれを出し尽くせ。

それが「美しい敗者」だ、と。

それがクライフの名言「負けるときは美しく」の真意だと僕は思っています。


だから僕にはまだ日本が「美しい敗者」を名乗るのは少し早い気がしています。

本当にやれることは全部やったのか?

そこに1点の悔いもないのか?

やれることはまだまだあるはずです。

「美しい敗者」に逃げ込んでいる場合じゃありません。

2−0になってからの15分間。ベスト8。それがはっきり見えた試合でもあったんです。


日本もまた他の敗戦国とともにロシアから去ることになりました。

ただそこに、僕は怒りも悲しみもありません。こんなことは初めてです。

あるのは参加6大会目にして、ワールドカップにただ出るだけではなく、戦える国になったんだという驚き。

グループリーグ最終戦でターンオーバーをして主力を休ませ、変に守備的じゃないいつものサッカーでラウンドオブ16を戦い、あと一歩のところで敗退したという驚き。


今回のチームは僕の中にあった「日本なんて」という卑屈さを吹き飛ばしてくれた。

日本はワールドカップで普通に戦った、日本人監督、選手を含めてついにそこまできた。

もはやワールドカップは参加するだけじゃない、4年に1度「勝ちにいく時」なんだと。

日本サッカー史上において偉大な一歩を刻んだこのチームを僕は忘れません。今後の基準とします。


それだけにこの4年間の過ごし方をしっかりと振り返らなければいけません。


日本が目指すべきサッカーをしっかり検証し、4年後を逆算してその道をしっかりと進む。

次の4年後の「勝ちにいく時」に、やり残したことが無いように、全てを出し尽くせるように。


この1戦を「美しい敗者」でかたずけるのはもったいなさすぎます。


なんにせよ、後半開始からの20分間、最高の気分でした。こういうことが起こる。ボールが転がっている限り、諦めなければ何かが起こる。

やっぱりサッカーは、そしてスポーツは素晴らしい。それを改めて感じさせてくれた我が代表には最大級の感謝しかありません


ラウンド16は終わり、いよいよ大会はベスト8。サッカーは前に進みます。

はたしてこの番狂わせの流れは続くのか?ベスト4の顔ぶれは?

睡眠不足はまだまだ続きそうです。

それではまた!



「ポーランド戦レビュー&グループリーグ総括 <西野監督の決定力>」FGO vol.120 

itch の Football goes on vol.120
ロシアワールドカップ その10

「ポーランド戦レビュー&グループリーグ総括 <西野監督の決定力>」FGO vol.120


確かに試合には負けました。

しかし大バクチに勝ちました。ポーランド戦はそういう戦いだったんです。


いよいよ日々の睡眠不足が深刻な問題なってきた今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか、itchです。

今回はポーランド戦を振りかえりつつ、見事決勝トーナメントを突破した日本のグループリーグを総括してみたいと思います


いや〜しかし、この采配をヒディンクとかモウリーニョとかとかがやったとかなら驚きはありませんよ。


まさか日本人監督でこの大バクチを、しかもワールドカップの舞台で打てる人がいるとは思ってもいませんでした。

ポーランド戦は多くの議論を巻き起こしていますが、僕は西野監督の信念を貫く「決定力」に唸りましたね。


僕が唸った西野監督の「決定力」は3つ。


まずスターティングメンバーです。

僕は前回のプレビューで「大迫、香川、柴崎、吉田、昌子以外はターンオーバーすべし」と主張しました。

しかし西野監督のターンオーバーはそれを超える6名もの入れ替え。

消耗の少ないフレッシュな選手を入れ替え「4−4−2」フラットでハイプレッシング。

日本の立ち上がりを観るに西野監督の意図を僕はそう感じました。

これに対して「勝っているチームのベストメンバーをいじるとは何事だ」という批判があります。

確かにこの試合のスターティングメンバーは連携面や、技術的な問題などで特に攻撃がうまくいきませんでした。



しかし前回も書きましたがグループリーグ第三戦は「条件戦」なんです。

その条件とは第一に「決勝トーナメントに進出するには」です。

その上で、何位抜けが有利になるのか、そして選手のコンディション管理などチームマネージメントを苦心するのが監督の仕事です。

ただ目の前の相手だけではなく、同グループのライバル達の動向、さらにその先、それらとも戦うのがグループリーグ第三戦なんですね。


西野監督のが実行したターンオーバーは「決勝トーナメントに進出するには」という命題と、チーム事情をギリギリのところですり合わせる綱渡りのようなギャンブルです。

このポーランド戦だけを観れば「勝っているチームのベストメンバーをいじるとは何事だ」は正論でしょう。

ただその先を考えた時にこのターンオーバーはハイリスクだけどリターンも大きい「賭けるに値する」ギャンブルだったと僕は思います。

このスターティングメンバーから西野監督がリスクを冒してでも決勝トーナメント1回戦に照準を合わせていることが分かります。

決勝トーナメント1回戦から逆算して主力を6人休ませる。頭で分かっていても敗退の可能性のある第三戦でそれを実行するのは勇気がいると僕は思います。

はっきりいって大バクチです。せっかくの勝ち点4をドブに捨てるかのような、オーラスの大バクチ。

ポーランド戦はこの大バクチからすべてが始まっていると、僕は思います。


次に唸った「決定」は賛否両論真っ二つで議論を呼んだ「試合の終わり方」です。

これもやはりこの1試合だけで考えるのではなく、「決勝トーナメントに進出するには」という命題で動く、グループリーグ第三戦の特性のもとで考えなくてはいけません。

先制され、コロンビアに勝ち越しゴールが生まれるまで、西野監督は大迫、乾と、温存していた主力の攻撃的な選手を投入しています。

先制され当初のプランが崩れた。「決勝トーナメントに進出するには」という命題に対してごく当然の交代です。

事件はコロンビアが先制し、「決勝トーナメントに進出するには」の条件が変化した時に起きました。


この時の「決勝トーナメントに進出するには」の条件は

㈰日本が同点に追いつく

㈪追加点を取られず、フェアプレーポイント上イエローカードを2枚以上、もしくはレッドカードをもらわない

㈫コロンビアが追加点をあげる

㈬セネガルが同点にしない


以上です。そして西野監督の「決定」は長谷部を投入してフォーメーションを「4−1−4−1」にしての「逃げ切り」

これに対して「負けている状況で守りを固めて時間かせぎをするなんて」「セネガルが同点にしてたらどうするんだ」と批判されています。


あの場面で香川、もしくは本田を投入して同点を目指し、自力での突破をあくまでも目指すべきだったのではないか、と。


しかしこの時のチームの状況はどうだったのか。


気温35度オーバーの状況の中、前からのプレッシングを行ってきた各選手の足は止まり、ポーランドのカウンターを制限できなくなりつつありました。

右からのクロスに抜け出したレバンドフスキーが合わせたシーンには「終わった」と思いました。幸運にもボールは枠を超えてくれましたが。そんな幸運が続くのか?

はたして本当に一か八かで同点を狙いにいかなければいけない状況なのか。

はたして一番確率が高い「決勝トーナメントに進出するには」とは?

僕の答えも西野監督と同じです。0−1逃げ切り。この状況で同点を目指すよりも、この状況で逃げ切る方に賭ける。

6人ターンオーバーは大バクチですが、この状況でのこの選択は本命に固く賭ける、ターンオーバーに比べたらかなり常識的な判断だったと僕は思います。

6人ターンオーバーの大バクチを完結させる最善の手段と言ってもいいでしょう。


ターンオーバーするからこういう事態になった!初めからベストメンバーで行けば良かったんだ!というのは間違えています。

まず「6人ターンオーバー」は試合前のどう戦うのかという「戦略」の話です。

「同点を目指すか、0−1で逃げ切るか」は試合の中での状況に対応する「戦術」の話です。

「冒険するな!」と言っておいて状況が変わったら「こうなったら冒険しろ!」と状況だけで批判しているだけ。矛盾しています。


「逃げ切り」というのは後半37分の長谷部の投入から始まったわけではありません。


6人ターンオーバーをし、主力を温存した「4−4−2」フラットで、ポゼッションを捨ててプレッシングを採用した試合開始から始まっているんです。


繰り返しますがこの試合はスコアも重要ですが勝ち点、得失点差、そしてフェアプレーポイントまで考えた争いなんです。

西野監督の「逃げ切り」という「決定」は試合プランにのっとった納得のいく、矛盾のない策だと僕は思います。


そして3つ目の唸った「決定」がゴールキーパー川島の起用。


1、2戦でミスから失点を重ねてしまった川島は、猛烈な批判にさらされていました。

実際にこの大会前から川島の様子は不安定で、特に判断ミスが目立ちました。

替えるなら第二戦だったと思います。第一戦で勝ち点3を取れて、まだ取り戻せる第二戦です。僕もそう主張しました。

しかし西野監督は第二戦でも川島を起用。そして川島はまたしても判断ミスから傷口を広げることになってしまいました。

そして迎える第三戦、ピッチには川島が、しかもキャプテンマークを巻いて立っていました。

日本のような基本的に格上のチームと戦うことを前提としたときに、僕は一番重要なのはゴールキーパーだと考えています。

「1点もののビッグセーブ」これが格上との勝負には不可欠です。

はたしてこの試合で川島はその期待に応えて2点は防いでくれました。

僕の中でポーランド戦のマン・オブ・ザマッチは川島です。

西野監督は交代よりも川島を信じた。復調に「賭けた」。

ここでも西野監督は見事に「賭け」に勝っています。


たぶん川島も覚悟はしていたと思います。替えられても仕方がないかなって。

逆を考えてみましょう。この試合で川島を替えて、グループリーグで敗退していても、その川島の交代に批判は起きないと思います。


西野監督の3つの「決定」の凄いところはそこです。


僕がこのポーランド戦での西野采配を観て、瞬時に思い出した事があります。

2007年日本シリーズ第5戦中日対日本ハム。そうあの「山井の史上初シリーズ完全試合未遂事件」です。

あの時も日本は賛否両論に真っ二つになりました。9回に岩瀬を投入した落合監督は批判にさらされました。

もしもあの時、山井を続投させて逆転され。そして最終的に日本シリーズを落としたとしても、落合監督を批判する人は少ないでしょう。

それでも落合監督は動いた、自分の意思に従い、8回をパーフェクトピッチングしている投手を替えた。

それが勝利への確率がもっとも高いという、自分の「決定」を貫いた。批判を覚悟して。


西野監督がポーランド戦で「決定」したことも同じだと思います。


監督という仕事で一番重要なこと、それは自らの責任において「決定する」ことだと僕は思います。

その誰に何と言われても「決定する」方向性、それがその監督の哲学と呼ばれるもの。

保身的な「決定」もあれば、冒険的な「決定」もあるでしょう。中には「選手たちが自分で考えろ」と「決定」することを避けるような監督もいます。

西野監督の「決定」は失敗したら大批判が巻き起こる類のものばかりです。

しかし西野監督はそこから逃げなかった。積極的に自らアクションを起こして「決定」しました。


確かに試合には負けました、しかし西野監督が考え狙った大バクチに、西野監督は見事に勝ったと僕は思います。


多くの人が予想したグループリーグ敗退を覆し、決勝トーナメントに進出。

しかも主力6人を休ませるターンオーバーも成功させて。


西野監督が大バクチを打って、得たリターンです。


これで日本は3回目の決勝トーナメント進出ですが、グループリーグを戦うことでいっぱいいっぱいだった過去2回と今回は価値が違います。

冒頭にヒディンクやモウリーニョがやったのなら驚かないけどと書きましたが、西野監督もこれらの監督と同じ類の監督であると証明した訳です。

この第三戦を批判する中には「子供たちに悪影響がある」という意見もありました。

僕は逆だと思います。

このポーランド戦は日本サッカーにおいて転換期にもなりえる画期的な試合だったと思います。

それが外国人監督ではなく、日本人監督によって行われたというところがまた希望があります。

選手のレベルは世界に近づきつつあります。後はその駒を使って戦う監督のレベルが世界に追いつけるか。

ここ数年の日本の課題はそこだと僕は考えています。


ワールドカップで優勝したことがある国に100%共通の事実があります。

ワールドカップを優勝する条件といってもいいその事実。

それは「ワールドカップはいままで外国人監督が優勝したことが無い」ということです。

ある程度のレベルまでは強豪国のコピーで到達しても、それ以上に行こうとすれば、その国のサッカーに関わる全てが問われる戦い。それがワールドカップです。

日本はここまで急激なスピードでレベルアップをしてきて、今では6大会連続出場をはたすワールドカップの常連という所までは来ました。ついにはベスト16の壁を超えるにはという段階にまでやってきました。

それにはその国のサッカーを深く理解し、引き出す事ができる監督が不可欠です。

西野監督がやってのけた事はその足掛かりになりえる。岡田監督と真逆の方法論で決勝トーナメントに進出した、日本サッカーにおける「第二の男」。

世界のサッカーと比べても違和感の無いサッカーをする人。勇気をもって、決断することの大切さを教えてくれる人。むしろ子供たちに積極的に見せたい人。


攻撃的だけど状況判断にも柔軟、そして何よりも批判を恐れぬ勝負師。


ついに日本人にもこんな監督が現れたのかと感無量なグループリーグの戦い方でした。

西野監督のグループリーグ3戦の戦い方は満点というか、ちょっと想定以上の凄みすら見せてもらえました。


なぜ我がグランパス時代に見せてくれなかったんだ!てゆうかグランパス時代が無かったことになっていないか?という想いはありますけどね(笑)


さあ迎える決勝トーナメント1回戦の相手は、タレント集団のベルギーです。


重戦車ルカク、世界最高峰のゲームメーカー デブルイネ、その他にもメルテンスにクルトワ、コンパニ、アンデルワイレルト、ヴィツェルにカラスコ、フェライーニ!

そしてそんなタレント軍団の頂点に君臨する王様エデン・アザール!

堂々たるロシアワールドカップ優勝候補です。もうなんだかウイイレのミーハーなマスターリーグのチームみたいなメンツです。

難しい戦いになるでしょう。世界の誰もがベルギーが勝つことに疑いはもっていません。


しかし西野監督が率いる日本代表なら「もしかしたら」というわずかな希望が僕は抱けます。

それだけの戦いを西野ジャパンはグループリーグで見せてくれました。

西野監督が川島を信じたように、ここまで来たら僕も西野監督を信じてみようと思います。


完全無欠のようなベルギーですがその「3−4−3」の日本から見て右サイド、どうしても自由に真ん中気味にポジションするアザールサイドに大きな穴があります。

右サイドをほぼ一人で担当しなければいけないカラスコをどう攻略するか。ストロングポイントでありウィークポイントである右サイドの攻防。その辺に注目して僕は観戦します。いやいやワンチャンスありますよ!


僕は4年前にブラジルのサルバドールでベルギー対アメリカを観ました。それはもう凄いチームでした。あのベルギーと日本が決勝トーナメント1回戦で観られると思うとドキドキとワクワクが止まりません。

平日27時キックオフ?いやいや睡眠不足の価値はありますよ!4年に1回、しかもこの先あるかどうかの大一番。

みなさんがんばってそれぞれの方法で睡眠時間を捧げましょう(笑)それではまた試合後に!


「ポーランド戦プレビュー」FGO vol.119 

itch の Football goes on vol.119
ロシアワールドカップ その9

「ポーランド戦プレビュー」


ポーランド対コロンビアをチェックしてたんですけど、3点目のハメスのパス、なんすかアレ...

ハーフウェイラインあたりからグランダーのアーリークロススルーパス!初めて観ましたよあんなん!

ディフェンダーはおろか、スタジアムの誰もが想像できないプレーを「創造」してしまう。

4年前のクイアバでのとどめの4点目もそうでした。

スタジアム全体が驚いて、そのプレーの結末を全観客が凝視しているあの空気。


さすが「最後のファンタジスタ」ですよ。大好物です!


そんな訳で書く方も大変な中3日の大決戦、運命のポーランド戦がやってきます。

2戦合計で勝ち点4グループ首位(!)でこの試合を迎える日本。

かたや勝ち抜け大本命と見られつつまさかの2連敗、勝ち点0敗退決定のポーランド。

日本は引き分け以上で決勝トーナメント進出、さらに勝てばグループ首位での勝ち抜けの芽も残されています。

グループリーグ最終節はその試合をどう戦うのかという戦術もさることながら、その先を見据えた戦略もよく考えなければいけません。

取らぬ狸のなんとやらと言われそうですが、決勝トーナメントに進出!大ハッピーエンド!どころか、ワールドカップは決勝トーナメントから本番。

グループリーグはいわば予選。僕は日本の立場ならば通りさえすればオッケーだと考えています。

決勝トーナメント初戦の相手が1位通過なら勝ちが計算できる相手とかなら話は別ですが。

グループHの決勝トーナメントの相手はベルギーかイングランドどちらか。どちらかを選びたいとかそういうレベルではありません。

であるならば日本が考えたいのはトーナメント初戦に戦力をどれだけ残せるか、です。


ワールドカップは決勝まで戦う国もたったの7戦。

それを1か月弱。平均中3〜4日で戦うという超短期決戦。

しかも現代の運動量が求められるサッカーでは11人で乗り切るというのはもはや不可能。

登録23人を効率よくフルで使い倒すかというマネージメントが不可欠になりつつあります。

2年前のユーロでポルトガルを優勝に導いたフェルナンド・サントスは、絶対的なクリスチャーノさん以外のメンバーをターンオーバーで使い倒し、登録メンバーを全員使いきってユーロを制しました。

西野監督もこの第3戦はメンバーの変更を示唆しています。

ベンチ全員で戦うことを公言している西野監督がこの第3戦でターンオーバーをしてくる可能性は高いです。

しかしここまでの日本があのメンバーでギリギリの戦いをしてきたのは誰もが知っています。

どこまでメンバーを落とせるのか。おそらく西野監督は悩みに悩んでいるでしょう。


以上の戦略的な狙いを大前提として、対ポーランドの戦術的な話に進みます。ながっ


ここまでセネガル、コロンビアにしてやれたポーランド。2戦観たところその敗因はディフェンスラインの不安定さにあると思います。

ポーランドは絶対的なディフェンスリーダーのグリクを、今大会怪我で欠いてしまっています。

グリクがいなくなったことでポーランドのディフェンスラインは統率を失い、適切な高さを維持できなくなっている。やたら低かったり。もしくは無暗に高い。チグハグです。

ポーランドのナバウカ監督はその安定のためにセネガル戦後半から3バックを試みました。

しかしこれが裏目に出たのがコロンビア戦。

ポーランドの3バックはちょうど西野監督の初戦、ガーナ戦状態でした。

ウイングバックはディフェンスラインに吸収され5バックと化し、両ウイングは押し下げられる。

「3−4−3」で戦いたいところが「5−4−1」に。3バックとウイングバックの曖昧なポジションから生まれるスペースをハメスとクアドラードに支配され、孤立するレバンドフスキにボールが渡らない。

ポーランドがまた3バックで来てくれたら大チャンスです。コロンビアと同じ戦い方でオッケー。

しかし対戦相手から見て今の日本のストロングポイントは、長友、乾、に香川や大迫が絡む左サイドアタック。ましてやコロンビア戦の大敗の後、ナバウカは4バックで、原点である「4−2−3−1」で来ると思います。

しかし4バック時でも問題は一緒、特に守備時に下がりすぎるディフェンスラインとボランチの間、バイタルエリアのスペースに隙があります。

セネガル戦でアンカー脇のスペースを使い香川と柴崎がポゼッションしたあの戦い方で、ポーランドは攻略可能。

もとより日本はヨーロッパのシステマチックな戦いを得意としていて、そしてポーランドのような体格はいいけどスピードに欠ける相手には得意のアジリティーを活かせる。

僕はグループで一番相性のいい相手はポーランドだと思ってました。

この2戦の戦い方を普通にすれば、普通に戦える相手。それが現時点でのポーランドの印象です。

しかしそれはこの2戦のメンバーで、という条件がつきます。


さあここで大前提の戦略の狙いを思い出しましょう。そう、日本はできるならばこの試合で戦力を温存。ターンオーバーしたいのです!


誰を温存できるのか?


どれだけ入れ替えられるのか?


まず間違えてはいけないのは、「後ろを固めて引き分けねらい」だけはやってはダメだということです。

2戦で3失点。このチームは守り切るチームじゃありません。

この2戦の日本の守備を観るにアタッキングサードでプレスをかわされ、相手に前を向かれた時の不安定さが目立ちます。

ましてや対戦相手にはあのレアルが何としても手に入れようとしているヨーロッパNo.1センターフォワードがいるわけです。

引いてプレイエリアを自陣バイタル付近に設定するのは自殺行為です。

日本は生命線である「ポゼッションによるゲーム支配」ここだけはメンバーを替えても変えてはいけません。

そうなると外せないのは柴崎、香川、大迫のまず3名。

このセンターラインが日本のポゼッションサッカーの軸だと思います。

それとおそらくポーランドが狙ってくるレバンドフスキへの放り込み対策を考えると吉田、昌子も外せない。

それ以外は全員ターンオーバー可能というのが僕の見解です。

そりゃここまでうまくいっているメンバーを3戦連続で起用したい誘惑はあります。

その方が日本では絶対批判されないし。なんせ真夏の35度の中で10代の若者が100球以上を中2日とかで投げているのが感動になっちゃう国ですから。

ベストメンバーはいわば保身です。ベストメンバーで負ければ誰も文句は言いません。

しかしそれでは勝ち抜けないのがワールドカップ。それでは永遠のベスト16どまり。

98年夏の高校野球準決勝、大エース松阪を温存した横浜高校の明徳義塾戦。あの感覚です。

まあその試合、横浜高校は敗退寸前まで行ったんですけどね(笑)


勝ち抜けるだけじゃないその上の高みを目指す賭け。それを見せてくれたら僕はそのギャンブルを支持します。

ギャンブルの正解があるとすれば「賭けるに値するかどうか」だと信じています。

ここまで予想の上の采配をみせてくれている西野監督の決断やいかに?


<itch的ターンオーバースタメン>

「4−2−3−1」

GK 川島
DF 吉田(C)
  昌子
  酒井高
  酒井宏
MF 山口
  柴崎
  武藤
  長友
  香川
FW 大迫  

<寸評>
ここまで来たらもうGKは川島で行くしかない。川島の復調もトーナメント1回戦には必要。GK交代よりもそちらに賭ける。酒井高を左サイドバックで入れ、長友は1列前で負担を減らしつつ相手のサイドバックを押し下げてもらう。
運動量がキモの長谷部、原口を温存。できれば大迫、香川、柴崎もゲームが落ち着いたところで岡崎、大島、本田などで代用し休ませたいところ。先制されても同時開催の状況で勝ち抜けができるのならばあわてず戦力温存。
このままでは敗退するという状況の時にジョーカーとして乾を投入。この1戦は選手交代のタイミングがポイント。


「セネガル戦レビュー 現代サッカーの主役はサイドバック?」FGO vol.118 

itch の Football goes on vol.118
ロシアワールドカップ その8

「セネガル戦レビュー 現代サッカーの主役はサイドバック?」


いや〜やってくれました乾!もうペナルティエリア左45度は「乾ゾーン」と言っていいでしょう!

2度先制されながら、2度追いつく。

あらためてコロンビア戦での勝利が自分たちを信じさせた結果だったと思います。


セネガル戦開始早々、観ていて僕は絶望感しか無かったです。


まるで大人と高校生のような、ボクシングで例えるならばヘビー級とバンダム級が試合をしているかのような圧倒的な体格差。

スピード、パワー、運動量で日本は開始早々圧倒され、そのまま押し込まれるように先制点を献上してしまいました。

この開始から15分ぐらいは日本はセネガルに圧倒され続け、一体何点取られるんだろうと思ってました。

しかしそれでも何とかなってしまうのがサッカーの面白いところ。

コンタクトを避けるように大迫、香川、柴崎が相手のアンカー脇のスペースで基点となってボールを動かし、徐々に試合を落ち着かせることに成功します。

試合開始のFIFAフォーメーション図では日本は「4−2−3−1」でしたが、実質は長谷部がアンカーに入り、香川は1列下がり左インサイドハーフ気味に位置する「4−1−4−1」だったように僕は思えます。

一方、相手のセネガルは「4−3−3」。中盤の構成は同じく1アンカー+2インサイドハーフという構成。

しかし日本はさらに大迫が0トップ気味に下がってくる「4−1−5−0」的な布陣で、中盤では大迫、香川、柴崎の誰かがフリーになる形を作ってポゼッションからリズムを作ります。

特に素晴らしかったのが柴崎です。

日本は遠藤がいなくなってから不在だった「ゲームメーカー」をついに手に入れました。

長短のパスを駆使してリズムを作り、勝負パスを入れるタイミングも絶妙。

今の日本で柴崎は外せない「マスターピース」です。

そして同点弾はそんな柴崎の狙いすましたロングパスから生まれます。


この試合はサイドバックの駆け引きが実に面白かったです。


セネガルの先制点、原口のクリアをペナルティーエリアで拾い、シュートしたのは左サイドバックのサバリ。

日本の同点弾、柴崎のロングパスをトラップし乾につなげたのは左サイドバックの長友。

そしてセネガルの勝ち越しゴール、マネの個人技から逆サイドに展開され、走り込み決めたのは右サイドバックのワグエ。


セネガルのワグエは日本の同点弾で一度「やられた」わけです。

しかし勝ち越しゴールを決めるのもまたワグエだったりするんです。

さらに2度目の同点劇が発生したのもまたワグエのサイド。

ちなみにセネガルの先制点で最初のクロスを上げたのもワグエだったりします。


この試合の主役はワグエ。いや、正確に言えばサイドバックが試合の展開に大きく関係した試合だったと思います。


サイドアタック全盛の現代サッカーで、ますます役割が重要となっているサイドバック。

サイドバックが自分の持ち場を捨てて「行く」のか「行かないのか」。

また「行ける」ようにどうシステムを組んでいくのか。

実はグアルディオラがどのチームに行っても一番苦心しているポイントがそこだったりします。

話がそれましたが、それにしても西野監督です。

試合後の選手たちのコメントからリズムを取り戻したアンカー脇でのポゼッション、両サイドバック裏スペースの狙いは西野監督の指示だったそうです。

僕は、ここ2試合の予想スタメンでかなり守備的な布陣を予想していました。

西野監督の選択はいずれも攻撃的布陣です。

しかも交代カードはここまで全て攻撃の選手に限られています。

もちろん初戦のコロンビア戦で開始3分で11人対10人になるなど幸運が助けてくれたこともありますが、それでもなおこの強気の采配。

おみそれしました。

ギャンブラーだと思います。しかも勝負に勝つ「運」も持っている。

ただひとつだけ、川島です。

非常に難しい判断ではあります。実際に川島はこの試合でも抜け出てキーパーと1対1にされた1点級のピンチをスーパーセーブしていたりもしますから。

川島の不安な点は判断ミスという所です。本来は経験豊かなベテランの強みなはずなのに。

パンチングでいくところをキャッチにいったコロンビア戦でのミス。逆のセネガル戦。どうもトゥーマッチプレッシャーなシーンが目立ちます。

そこの判断を西野監督はどう考えているのか。

それと西野監督がゴールをどこに設定しているのか。

ベスト8なのか、それとも決勝トーナメント進出なのか。

3戦必勝態勢なのか5試合戦うことを考えているのか。それによってポーランド戦でのターンオーバーはあるのか。

その辺に注目したいと考えています。


それではこれからポーランド対コロンビアを観ますんで、また明日!




「セネガル戦直前プレビュー」FGO vol.117 

itch の Football goes on vol.117
ロシアワールドカップ その7

「セネガル戦直前プレビュー」

フットボール大国が苦しんでいます。中でもアルゼンチンの症状は深刻です。

あまりに偉大な選手は時としてチームに食あたりを起こしてしまうもの。

ここ最近のアルゼンチンはメッシという劇薬をうまく使うすべが見つからない。

その点、ポルトガルのサントス監督は9人で守って、後はクリスチャーノさんに託すというシンプルな「戦術ロナウド」でうまくクリスチャーノ・ロナウドという劇薬を使いこなせていますね。


「カテナチオ」の守備大国イタリア。天才達による個人技のブラジル。「ゲルマン魂」不屈のドイツ。華麗なパスサッカー「シャンパンサッカー」のフランス。「トータルフットボール」攻撃サッカーの始祖オランダ。「ティキタカ」の無敵艦隊スペイン。

それぞれの国がガラパゴス的に築いた個性は、サッカーのグローバリズム化で「モダンフットボール」というひとつの答えに統一されつつあります。

スペインのティキタカにプレッシングを浴びせ、あわやのシーンを作ったイラン。世界NO.1ゴールキーパー、ナバスを中心とした堅守で王国ブラジルを追い込んだコスタリカ。残り10秒まで前回王者ドイツを追い詰めたスウェーデン。

いまやアジアでもアフリカでも中南米でもいわゆる「良いサッカー」をする時代となりました。

長すぎる前置きとなりましたが、その最近の流れの象徴のようなチームが、第二戦の相手セネガルです。

ポーランド×セネガルをチェックしましたが、びっくりしました。

不運なディフレクションとポーランドのミスからセネガルの得点は生まれたのですが、内容的にはセネガルの完勝。

特に目を引いたのがセネガルのシステマチックな守備戦術でした。

セネガルはこの試合を「4−4−2」で始めたのですが、守備時にはきれいな4×2ラインのブロックを作り、ポーランドの攻撃を迎え撃ちます。

非常に強固な中央ブロックをポーランドは最後までこじ開けられず、強力なプレッシングから危険なショートカウンターを浴び続けていましたね。

いままでのアフリカンチームのイメージはその身体能力を全開に、本能的な、ワイルドなサッカーを展開してくるという感じでした。

しかしセネガルは違います。

各プレーヤーがポジションを忠実に守り、この4×2ラインの守備ブロックは終始乱れず、90分間組織的な守備が機能していました。

特に驚いたのがマネです。マネはセネガルの大エース。カメルーンのエトー、コートジボワールのドログバ的な存在です。

そんなこれまでならば我がままが許される立場のマネが、忠実に自分の持ち場である左サイドのポジションを守っている
マネだけではありません。各プレーヤーがポジショニングに忠実なので布陣に穴が無い。

セネガルチームを観ていると、アフリカンのフィジカルに戦術を叩き込み統率し、コントロールすることに成功した近年のフランスを連想します。


僕が観たかぎりHグループで一番いいサッカーをしているのがこのセネガルです。


ベスト8クラスのチームのように思えます。ハメスがいない10人のコロンビアとは比べ物にならない難敵です。

セネガルのストロングポイントは「守備」だと思います。特に中央ブロックが強烈です。

あの守備大国セリエA屈指のセンターバックと言われる「ナポリの壁」クリバリ。2mのそびえる巨漢サネの強力なセンターバックコンビ。

そしてボランチにエバートンの「ボールハンター」グイエとエンディアイエ。ここにはポーランド戦では控えでしたが圧倒的なフィジカルで中央を制圧するクヤテもいます。

この2+2で作られる中央のブロックは強烈で、あのレバンドフスキでさえも何もさせてもらえないほどでした。

強固な中央ブロックでボールを奪い、左右と中央、全方位に一人づつ置くスピードアタッカーを走らせてくる「堅守速攻」がセネガルのサッカーです。


そんなセネガルにとってショートパスで中央からの攻撃というのは自殺行為です。

こじ開けられないし、何よりも中央エリアというのは相手ゴールにも近いけど、自分のゴールにも近い危険エリア。

例えば同じ高さでボールを失ったとしても、中央とサイドでは自分のゴールまでの距離で約10mぐらいの差があります。

プレーにして1回から2回ぐらい、ディフェンスチャンスの差が出ます。だからボールを奪われるならばサイドで、勝負を仕掛けるのはサイドというのがモダンフットボールの鉄則。


ですからセネガル戦で心掛けたいのが「サイドアタック」の徹底です。


セネガルは中央の2+2のブロックは強烈ですが、両サイドバックの守備にややほころびが見えました。

ポーランドのチャンスは全てサイドバックの裏スペースを使ったもので、両サイドの背後を突き、センターバックかボランチをつり出し中央2+2のブロックを崩すことを目指したい。

中央2+2のブロックがコンパクトな時にはポーランドでさえもノーチャンスでした。レバンドフスキですらポストプレーができず、そこからカウンターを食らう始末。

好調な大迫のポストプレーを過信すると、相手に危険なカウンターチャンスを与えることになりかねません。


ですから僕はセネガル戦では「サイドの攻防」がカギを握ると思います。


おそらく日本はボールを持たされる展開になるはずです。そこで相手の強力なプレッシングに焦らず、ボールを左右に散らす。
サイドに起点を作り、日本が目指すのはサイドバックとサイドアタッカー、そこにもう一人が絡んでサイドの深い位置を目指すコンビプレーです。

そこで問われるのがサイドバックの判断です。マークすべきニアンやサール、マネとの駆け引き。

マークを外してでも前にでるのか、自重してマークし続けるのか。

だからこの試合のキーマンは両サイドバック、中でも右サイドバックの酒井(宏)だと思います。

酒井の相手はセネガルのエースであるマネ。さらにセネガルがツートップの場合はここにニアンも絡んできます。

まず守備に忙殺される酒井ですが、相対的に相手の守備力に不安があるのもこのサイド。
おそらく右サイドを担当する酒井+原口コンビの責任は重大です。ここでの戦いの結果が勝負に直結する気がします。

それとセネガルは攻撃のビルドアップがさほど得意では無いように見えました。

特にセンターバックからのビルドアップが乱れがちで、センターバックへの激しいプレッシングからポーランドはチャンスを作っていました。

かといってセネガルに対して前からハイプレスをかけてゆくのは非常に危険です。セネガルのスピードアタッカー達にスペースを与えることになります。
セネガルのスピードアタッカー達と走りあいの展開になれば、勝てる選手は世界でもそうそういないでしょう。

ですのでこの試合こそどっしりと後ろ目に守備ブロックを作った方がよい気がします。

持たされたボールをしっかり回しつつ、バイタルエリアをしっかりと人数で埋めスペースを消し、相手のスピードアタッカーを走らせない。

そしてサイドに起点を作り、徹底して相手サイドバックの背後を狙う。間違っても中央でボールを失わない。

そしてセットプレーにかける。これがセネガル戦での基本路線です。


いずれにせよ、厳しい戦いになると思います。ですが日本は勝ち点3を既に持っているという所を忘れていけません。
絶対に勝ち点を3が必要な状況じゃないんです。焦る必要はまったくありません。

実はそれはセネガルも一緒。お互いが様子を見ながら進行してゆく重い展開に日本は持ち込みたいところ。

西野監督は「基本的にコロンビア戦のメンバーで」と、セネガル戦のメンバーについてコメントしていました。
勝ったメンバーはいじるなと言われていますが、一つだけ心配な選手がいます。

それはキーパーの川島です。

直前のテストマッチからコロンビア戦、川島は非常に不安定です。基本的にスーパーセーブよりも確実性が問われるのがキーパー。

勝負の第3戦に向けても、この試合で違うGKを試すべきだと僕は思います。第3戦で土壇場のキーパー交代よりも試すならこのセネガル戦。


そんなわけで最後に個人的なスタメン予想で終わろうと思います、前回のコロンビア戦での予想がまったく外れていたのは忘れましょう!

それではまた試合後に〜!

<itch的スタメン>

「4−1−4−1」

GK 中村
DF 長友
  酒井(宏)
  昌子
  吉田
MF 長谷部
  柴崎
  山口
  原口
  本田
FW 大迫

<寸評>
不安定な川島に替えて経験を積ませる意味でもGKに中村を。相手の強固な中央ブロックに選手を置くのは無駄。そこでトップ下の代わりにアンカーを置く「4−1−4−1」を採用。
サイドの攻防で選手が引っ張られて中央が薄くなる事態に備えてカバーリングに優れる長谷部をアンカーに。守備的にキツイ右サイドに原口。左サイドには本田。本田は左サイドで「ボールの避難場所」になってもらう。
セットプレーを考えてもチーム唯一左利きの本田を入れておきたい。勝負時には乾と香川をセットで導入。スペースの無いセネガルには香川は後半からが生きるはず。











「ジャイアントキリング」FGO vol.116 

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「決戦前夜!対コロンビアスペシャル」FGO vol.115 

itch の Football goes on vol.115
ロシアワールドカップ その5

「決戦前夜!対コロンビアスペシャル」

前回王者ドイツ、まさかの初戦負け!いや〜しかしドイツの不出来もさることながら、それ以上にメキシコが素晴らしかった!

前回でもブラジル、オランダの猛攻を跳ね返したGKオチョアの好セーブ!

凄まじい運動量で守備にカウンターに大活躍、ドイツを大いにかき回したラジュン!

そして雑なロングボールを危険なカウンターに変化させる、円熟のサッカー小僧チチャリート!

おまけに出てきたときには「マジかよ」と噴き出した(笑)、5大会(!)連続出場のダンディーマルケス兄貴!

いやあ濃い!優勝候補ドイツがかすむキャラの濃さ!
個人的にここまでで一番気になるチームの誕生です(笑)

ドイツは大会前に唯一不安視されていた「ストライカー不在」が浮き彫りになっちゃいましたね。
それと新世代ドイツにはどうも「ゲルマン魂」が感じられないのも気になります。逆境に弱い。

ドイツのF組はもし2位ならE組1位と決勝トーナメント1回戦で当たります。

つまりはブラジル。これは決勝トーナメント1回戦でいきなりブラジル×ドイツありえますよ〜


そんなわけでワールドカップは早くも6日目。そうです、いよいよわが日本代表の決戦日となりました。

今回は前回の続きとして、「決戦直前!対コロンビアスペシャル」をお送りしたいと思います。


さて、迎えるロシアワールドカップの初戦、その相手は奇しくもあのコロンビアとなりました。

そう、4年前の日本代表最後の相手です。

日本は4年の時を経て再びコロンビアと今度は最初の相手として戦います。

コロンビアは基本的に変わっていません。監督は同じぺケルマン。構成する選手も軸となる選手はほぼ一緒。

4年の間にさらなる成熟を遂げたコロンビアは、カウンターからポゼッションまで相手と状況によって使い分けられ、
様々なタイプの選手も揃え、バランスの良い非常にタフな好チームに仕上がっています。


個人的にグループHで最強のチームはコロンビアだと思っています。


ここで4年前を思い出してみましょう。ええ、わたくしitchにはあの黄色いコロンビアーノで埋められた
アレナ・パンタナールの惨劇が、そこにいた当事者として昨日のように思い出せます。

4年前のコロンビアは実は2軍メンバーでした。当時彼らは負けても1位抜けが確定している状態。

この試合の前半、実はペースは日本だったんです!2軍のコロンビアはチームとなっていなくて、
サブの選手が決勝トーナメントでスタメンを勝ち取るべくアピールしている有様。

そんなチームを後半から出てきて、たった一人で変えてしまったのがハメスでした。

ハメスはフリーマンとして変幻自在にポジションを変えボールを引き出し、
イヤなところにパスをほぼツータッチでシンプルに配球してゲームを支配し、
そして瞬く間にジャクソン・マルティネスにアシストを2連発。

仕上げとして吉田を切り返し一発で振り切り、必死に詰める川島をあざ笑うようにループを流し込むビューティフルゴール。

はっきりいって逆転してからのハメスは遊んでいました。今でもペケルマンを恨みます。なんてことしてくれたんだ!


と、このように、コロンビアの心臓は間違いなくハメス・ロドリゲスです。ハメスがボールを触ることでリズムが生まれ
そして決定的な仕事もハメスがもたらす。それは4年後の今でも変わりません。

それどころかコロンビアの王子様と呼ばれていたハメスは、レアルで揉まれ、そして今季バイエルンで君臨することによって、コロンビアの王様として圧倒的な存在となって還ってきました。

さらにさらに、4年前には負傷で大会にいなかった生粋の点取り屋ファルカオ!

成長を遂げユベントスのスピードスターとしてより危険になったクアドラード!

スパーズの躍進を支え、ビッグクラブが熱視線を送る若きディフェンスリーダー、ダビソン・サンチェス!

繰り返しますが4年前のスタメンは2軍でした。しかし今回は初戦。
つまりこれらのタレントが王様ハメスのしもべとして当然のようにスタメンで来るわけですよ…


そんなコロンビアと対戦する全てのチームが考えなきゃいけない対策は「ハメスをどう封じるか」です。


4年前の日本はハメスをあまりにフリーにしすぎました。

というより正確には、前回にも書きましたが日本の1対1のディフェンスのクセである、寄せるのではなく距離をおいて引いて様子を見せる「リトリート」。これと相性が最悪だったのがハメス・ロドリゲスでした。

ハメスはトラップが天才的に上手いので、一発でパスを納めます。するともう日本のディフェンスは飛び込めない。

ハメスはパス、ドリブル、ミドル、キープ、なんでもできます。さらに彼は「現代サッカー最後のファンタジスタ」
何でもできるうえに、ディフェンダーはもとより観客の想像を超える選択肢も取ってくるわけです。

そんな選手に時間とスペースをたっぷり与えてしまう「リトリート」で様子を見ている間に、
チンチンにされたのが4年前の日本の姿。アレナ・パンタナールで絶望したのを覚えています。

その苦い経験を繰り返してはいけません。

ハメスに間違っても時間とスペースを与えては、同じ、いやそれ以上の惨劇が待っているでしょう。

ですからこの1戦での最大プレッシャーのターゲットはハメスです。ここはブレてはダメ!

ただし、そんなことはハメス、そしてコロンビアは分かり切っています。

だからペケルマンが一番考えていることはその逆、「ハメスに時間とスペースをどう与えるか」です。

その為にペケルマンはまずハメスにフリーポジションを与えています。
便宜上、ハメスはトップ下やセカンドトップ、左サイドなどにポジション表記はなっていますが
ハメスはゲーム中に自由にポジションを取る権利を与えられています。

そして他のしもべ達は王様が自由に取るポジションのバランスを取るべく動いているわけです。

ですから相手チームは最大プレッシャーをハメスにかけたいものの、プレスの網の目の荒い場所に
変幻自在とポジションを取るハメスにプレスをかけられずに、気づけばハメスにやられるわけです。

どうすればいいんでしょうか?

時にボランチの位置まで下がることもあるハメスに、マンマークは無駄でしょう。

かといって曖昧なマークの受け渡しではやられます。

かくなるうえはハメスにボールを持たれ、仕事をされると危険エリア、
バイタルエリアを人で埋めてスペースを消すしかありません。

人海戦術でプレスの網の目の荒い場所をなるべく無くす。バイタルエリアに侵入させない。

僕にはそれしか思い浮かびません。

ですから「4−1−4−1」なんです!

対コロンビア、いや対ハメスにはバイタルに4人の1ライン+1の5人が少なくとも必要です。
トップ下、なんてぜいたく品は少なくとも立ち上がりや0−0の状況ではいらない!

ハメスに常に3人。サイドでも中央でもトライアングルで囲む為にはアンカーが必要です。

では誰が適任なのか。

前後左右、全方位のカバーリングに優れ、危機察知と果敢な勇気を併せ持ち、時にはディフェンスラインにも入り、時には前に出て潰すこともできる選手…


はっきりいっていません(笑)思いっきり絵にかいた餅です(笑)


強いて言えば全盛期の今野でしょうか。怪我で今野を招集できなかったことが非常に痛いです。

消去法的に現メンバーから選ぶとなれば、キャプテン長谷部になるんでしょう。

とにもかくにも対ハメスのアイデア。コロンビア戦のみどころはここです。
西野監督がハメスをチームとしてどうハメるのか。


またプランBも必要です。先制点を取られ、さらに2点差以上になってしまい、点を取りにくオプションです。


追いかける展開で希望があるとすればやはりセットプレーでしょう。

まず警戒しなければいけないのは強引に攻めに出て、カウンターを浴びて失点を重ねてしまうことです。
そんなことになれば、ロシアワールドカップは下手したらコロンビア戦の前半で終わってしまうこともあります。

そこで追いかける時こそ攻撃方法にはデリケートになるべきです。

間違ってもザック的なショートパスを主体にポゼッションで中央からなんてことはやってはいけません。

コロンビアにカウンターをやってくれといっているようなもんです。

まず必要なのはファールが取れるドリブラー。これをサイドに投入します。

次にミドルレンジのパスを打てる選手も必要です。

そしてターゲットマンです。サイドに流れミドルパスを受け、ドリブラーに落とす。
あわよくばその競り合いでファールももらえるような。

その繰り返しで根気よくセットプレーを取り、一発にかける。

そんなボールを取られカウンターを浴びたとしても対応ができる安全な攻撃「守備的攻撃」が必要です。

情けないですがこれが現実です。忘れてはいけないのはこれが第一戦ということ。

残り2戦に望みをつなげる。例え負けていたとしてもこれが最大目的の追い上げなんです。


はたして、西野監督の選択やいかに?


そして迎える大決戦のコロンビア戦、盟友のサクライ氏と久しぶりに、
試合を生で見ながらトークするスペシャルライブを行うことになりました!


会場は北名古屋市のフットサルカフェ「AREA」(http://www.fc-area.com/)


4Kプロジェクターによる壁一面に投影される大迫力の映像と
音響アート集団「OTAI Record」がくみ上げる最高のサウンドシステム!


最強の視聴環境で運命の1戦を共に体感しようじゃありませんか!


オープンは19時30分!さあフットピーポーども!全員「AREA」に集合だっ!
みんなで観れば怖くない!なにより「奇跡」が起きた時の嬉しさも大爆発だよ!

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そんなわけで最後に個人的なスタメンとプランBのアイデアを書いてしめたいと思います。


<itch的スタメン>

4−1−4−1

GK 川島
DF 長友(左SD)
  槙野(CDF)
  昌子(CDF)
  酒井宏(右SD)
MF 長谷部(アンカー)
  柴崎(CMF)
  山口(CMF)
  原口(左SMF)
  武藤(右SMF)
FW 浅野(CF)※岡崎の怪我で予備登録から昇格

寸評
スピードのあるコロンビアのアタッカー陣には吉田よりも昌子&槙野で。長谷部はアンカーとリベロを兼任し、
ハメス包囲網を指揮する。基本的にバイタルエリアに4人の2ラインを敷き詰めブロックを形成。ボールを奪ったら素早く
ワントップの浅野へロングボールを送り、サイドのどちらかと2〜3人で、相手を押し下げることを目的としたカウンター。負担の大きい両サイド、中央のMFは疲れが見えたらフレッシュな選手を送り込み、プレッシング強度を維持。



<プランB>

4−4−2(フラット)

GK 川島
DF 長友(左SD)
  槙野(CDF)
  昌子(CDF)
  酒井宏(右SD)
MF 柴崎(CMF)
  山口(CMF)
  原口(右SMF)
  香川(左SMF)→OUT長谷部
FW 本田(CF)→OUT浅野
  乾(ST)→OUT武藤

寸評
セットプレー狙い。乾は左サイドに張るウイング的なポジションで香川と組ませる。
ドリブラーは全力でファールを取りにいく。ただし仕掛けるのはカウンターが怖いのでサイド限定。
本田はチーム唯一の左利きキッカー。セットプレーで必要。動けないのなら最前線でターゲットになってもらいファールも誘う
そして大舞台で抜群に強いという「持ってる」本田の不思議な力に期待したい「神頼み」戦術。

「日本が抱える最大の弱点」FGO vol.114 

itch の Football goes on vol.114
ロシアワールドカップ その4

「日本が抱える最大の弱点」

衝撃のハットトリック、クリスチャーノさんがいれば細かい攻撃戦術なんていらない!
10人で守ってボールを預ければなんとかしてくれる!すごいぞクリロナ!もはや超人!

そんなわけで平日27時キックオフのポルトガル×スペインの興奮冷めやらぬ中こんにちわ、itchです。


いや〜、サッカーの内容じゃ完璧にスペインだったのに、一人で3点取ってチャラにしちゃうクリスチャーノさん!
ただ両翼を交代で入れて、特にジョルディ・アルバサイドから活路を見いだしたサントス監督もやりますね。

しかしカッコ良すぎましたクリロナ。負け濃厚の流れの残り5分。ゴール前でファールを取り
ボールをセットしてから大股で後方に下がり例の仁王立ち。からの〜194cmのピケの右上から、
あのスピードで曲げて落とす!デ・ヘアはノーチャンスですよあれは。

しかし今大会の公式球「テルスター」はやっかいですね。クリスチャーノさんの2点目、スペインのナチョの2点目といい
グイングイン曲がるというか動く、キーパーにとってはやっかいなボールですよ。


今大会はミドルシュートやフリーキックでの得点が増える予感がするボールです。


さあそんなわけでついに始まりましたロシアワールドカップ!今回は先のパラグアイ戦のレビューから
対コロンビア戦について話を進めてみたいと思います。


前回に「軸になるメンバーを固定して、あくまでも組み合わせるサブを試す」試合であってくれと書いたのですが
西野監督の選択は「総入れ替え」でした。


ガーナ戦、スイス戦で試したスタメンがおそらく西野監督の当初の「軸になる選手」だったと思います。
ただ西野監督はインタビューでも明かしていますが、この3戦で招集した選手全員を出場させようと考えていたようです。

そして迎えたパラグアイ戦で、「総入れ替え」で出場したサブ組が躍動しましたね。

特に僕は岡崎がかなり効いていたと思いました。

さすがはレスターでラニエリに「シンジはチームに欠かせない」と言わしめた岡崎。
その運動量とファーストプレスの寄せの早さがこの日のプレッシングのレベルを引き上げていました。

パラグアイ戦ではまず岡崎がセンターバックにファーストプレス、そこからパス先に次に香川がプレス、
その際に岡崎はほぼ毎回、ファーストプレス先からからパスコースを切りながら連続してパス先に、
香川と一緒にプレス。

ボールホルダーは同サイドのサイドバックか、ゴールキーパーへのバックパスに限定されてしまうので
サイドへのロストを避けた苦しいパス、もしくはボランチへの一か八かの縦パスに追い込まれます。

そのボールを日本は次々と高い位置で奪い、ショートカウンターを浴びせ続けました。

パラグアイ戦での日本のプレッシングはうまくいっていたと思います。実質5バックでリトリート非プレスだったガーナ戦。
ハイプレスに挑むもいなされ空転しガス欠を起こしたスイス戦。そこから着実にプレッシング精度は上がっています。

次の課題はプレッシングのかけ方「精度」ではなく、その強さ、激しさ「強度」でしょう。

「精度」は寄せるまでの早さや、かわされた時のカバーリングなどシステム的な要素です。

「強度」は実際の奪う際の激しさ、最近雑誌や解説でしばしば聞かされる用語「インテンシティー」ってやつです。

現在のヨーロッパサッカーで監督などが「今日の試合のインテンシティーには満足している」とコメントするアレです。
もはやプレッシングが当たり前になったヨーロッパで問われているのはそこ、プレッシングの激しさ、キツさです。

前任監督ハリルはそれを「デュエル(戦い)」と表現していましたね。「日本はデュエルが足らない」と。

初期のプレッシングは寄せの早さでボールホルダーから時間とスペースを奪い、ミスを誘発してボールを奪うというものでした。
すると生物進化のように対抗してプレスを受けても冷静にキープし、時間とスペースを作り出す選手が出現してきます。

バッジオ、ジダン、メッシ、イニエスタ、そして全盛時の本田、そういった類の選手たちです。

すると次は対抗して進化はプレス側にもたらされます。より早く、速く、強く、連続してプレッシングをかけ続ける選手の出現です。
「プレーを制限する」受け身の守備から、主体的に「ボールを奪う」に進化していくわけです。

ポグバ、カンテ、マテュイディ、カゼミーロ、ケディラ、ナインゴラン、いわゆる「戦士」タイプに今は高い値札がつく時代です。

魔法のようなテクニックを持ち、時間とスペースを作りだすような「スペシャル・ワン」は神様の気まぐれを待つしかありません。
しかし、努力とガッツである程度のレベルまでいける「戦士タイプ」なら量産が可能。つまり比較的お値打ち。

予算の少ない弱者が魔法使いを揃えたビッグクラブに対抗するには…お値打ちな「戦士」を揃えて「デュエル」する。

そんなわけで世界は大きく「インテンシティー」の方向性に傾いているのが現状です。


余談ですがそんな流れの中、確固としてテクニック至上主義を貫くクライフの継承者、グアルディオラがだからこそ眩しいんです。


パラグアイ戦で問題だったのは2点取られたことでしょう。しかもまたもや先制点を取られています

いずれもミドルシュート。ペナルティーエリア外から。


日本のプレッシングの課題はバイタルエリアです。

本来ならば危険なエリアだけに最大強度のプレスが必要なエリアですが、日本はここのプレスが一番ゆるくなってしまいます。

その原因はセンターバックです。どうしてもディフェンダーの本能に従い引いてしまう。
ディレイの守備方法が染みついちゃってるんですね。

だからいつも寄せが甘くなり、ボールホルダーに時間とスペースを与えてしまいます。
中盤のプレスをかいくぐられてしまうと途端に大ピンチ。
日本は中盤を突破されると、ほぼシュートまで持っていかれてピンチに直結しちゃいます。

今風に言うならばセンターバックのインテンシティーが足らない、でしょう。

このクセは「デュエル」をかかげるハリルでも治せなかった。トゥーリオがいなくなってから日本が抱え続ける最大弱点です。

だから今の日本が5バックなどで引いて守るというのは自殺行為なんです。

引いても守れない。いや、引くと逆に守れない。ファールを恐れてという風には見えません。
どちらかと言うと恐れ、寄せてぶち抜かれた時のことを必要以上に恐れて、という風に見えます。

相手のミスを待つ。援護を待つ。自分が止める、奪うという意識の欠如。日本人の集団性の高さが裏目に出ています。

アタッカーや前目の選手が海外に移籍することはもはや定番化しつつあります。
しかし、センターバックの海外移籍はいまだレアケース。日本の最大の弱みはセンターバックなんです。

不思議なのはその唯一のレアケースである吉田が、もっともリトリートをしてしまうという所です。
よほど自分のスピードに自信が無いのか、ボールホルダーに詰めることをもっとも躊躇しています。

その点、パラグアイ戦の昌子は良かったです。ペナルティエリアの外で勝負する意識が見えました。

現代サッカーでは守備を固める時にセンターバックタイプを増やして、
後ろや真ん中を固めるという守り方はもはや見かけなくなりました。

中盤にフレッシュな選手を加えてプレッシング強度を上げるか、
相手のキーマンの担当エリアにフレッシュな選手を入れて相殺させる的な交代です。

いずれにしても意図は「ボールをゴールから遠ざける」です。

ボールの進化と選手のフィジカル能力の向上で、はるか100年前に決められた危険エリア「ペナルティーエリア」はもはや意味を成していません。

もしいまペナルティエリアを規定しなおすなら、ゴールから16.5メートルは狭すぎます。

少なくとも25メートル。それが現代サッカーの「射程距離」です。

この実質的な現代のペナルティエリア25メートル範囲に、相手ボールを容易に入れるのは危険。
25メートル引くことの16.5メートル。ゴール前8.5メートル。このエリアで自由にプレーをさせては、現代では即ピンチになります。
失点というサッカーにおける「死」に直結する危険なエリア。「バイタルエリア」と呼ばれる理由です。

ですので最近ではほとんどのチームのディフェンスラインはペナルティーエリア10メートル前あたりが平均値です。
つまりそこが「最終防衛ライン」として規定しているわけです。

その意識が低すぎるのが日本のディフェンスです。

バイタルエリアにボールが入ってからじゃ遅いのに、入ってからもなおディレイしてズルズルと下がる。
防いでもスペースがあるのでセカンドボールを拾われ続け、ディフェンスラインが下がりきった所でミドルで失点。

何度も何度も見てきた日本の失点シーンです。

確かにミドルシュートでの失点は一見「ディフェンスが崩されたわけでない」と言えます。
しかし1点は1点。「ディフェンスが崩されたわけでない」けど試合は負けです。

パラグアイ戦での失点シーンも同じでしたね。まあ1点目のスーパーゴールは仕方ないですけど
2失点目、誰もボールホルダーに寄せない。

ですから日本は他の国よりも中盤での守備に神経を使う必要があります。
ゴールキーパーはおろか、センターバックと1対1になることを避けることも、残念ながら日本は考えなきゃいけません

取るべき方法は二つ。

グアルディオラのチームように圧倒的なポゼッションで相手陣内にボールを押し込み
ボールロストをしてもそのまま相手陣内でハイプレスをかけてボールを奪還。
可能な限り相手陣内でサッカーをしてしまうという方法。

しかしこれができるのはグアルディオラだけなので、やりたくてもできない(笑)

後は岡田監督が採用した最初からバイタルに選手を配置しておく、つまりアンカーを置くという方法です。

「4−2−3−1」ではディフェンスラインとダブルボランチのラインの2ラインの守備になり
そのライン間が開くのが問題になります。

であれば、トップ下を外してその2ライン間に一人置く、「4−1−4−1」。これが岡田監督が下した決断でした。

僕はコロンビア戦に限ってはこの「4−1−4−1」がいいんじゃないかと思います。

まずコロンビアのストロングポイントであるサイドに選手をきっちり2人ずつ配置できる。
そしてただでさえ時間とスペースが無いバイタルエリアで変幻自在に動き回り、
決定的な仕事をはたす「現代サッカー最後のファンタジスタ」ハメス・ロドリゲス対策にアンカーをぶつけられる。

確かに「4−1−4−1」では攻撃力は大幅に低下します。プレッシングに忙殺される中盤の選手には攻撃の余力は無いでしょう

しかしコロンビア戦は「グループリーグ」の「第1戦」なのを忘れてはいけません。
条件は「マストウィン」では無いんです。引き分けで勝ち点1なら全然オッケー。

そして日本が狙うべき「ジャイアントキリング」を考えてもまず絶対に避けなきゃけないのが「先制点」です。

「ジャイアントキリング」にはまず強者のチームの混乱が必要不可欠です。「いつもの力が出せない」状態と言っていいでしょう。

覚えておかなければいけないのは「マストウィン」なのはコロンビアの方だということです。

彼らは決勝トーナメント後も考えなければいけない立場です。つまり1位抜けが欲しい立場なんです。

コロンビア戦、時間は日本の味方です。先制点が遅ければ遅いほど、コロンビアは焦ります。

攻撃や守備はどうしても強引に、単調になってゆくでしょう。ジャイアントキリングの下地はそうやってできていきます。

そこに攻撃人数の関係の無いセットプレーから1発決まろうもんなら、コロンビアの混乱は頂点に達するはずです。

コロンビア戦はまず守備です。ただしアグレッシブな「攻撃的守備」が問われるでしょう。

引きっぱなしじゃやられます。バイタルエリア前で潰す、さらにショートカウンターを何本か見せて相手を押し下げる、
人数をかけずシンプルにシュートで完結するような、そういった守備を助ける「守備的攻撃」も必要です。

とにかく対コロンビアでもっとも重要なのは「先制点を可能限り遅らせる」べきであると僕は思います。

では具体的なメンバーをどうするのか?

本当はぶっ続けでここから書いて行こうかと思いましたが、
ここまで充分な殺人長文になってしまっているので2回に分けます(笑)

それではまた!

「かくなるうえはカミカゼプレス!」FGO vol.113 

itch の Football goes on vol.113
ロシアワールドカップ その3

「かくなるうえはカミカゼプレス!」


スイス戦の敗戦もさることながら、ギータにナゴドの左中間へ2打席連続HRを叩き込まれた大野が心配な今日この頃
みなさんいかがお過ごしでしょうか、itchです。

さあ西野ジャパン第2ラウンドのスイス戦。平日27時キックオフのダメージからやっと回復したので
今日はその辺を中心に話を進めてみましょう。


戦前からスイス戦では4バックに戻すと言われていたとおり、西野監督がこの1戦で採用した布陣は4バック。
それも懐かしの「4−2−3−1」。ザックジャパン時代のお馴染みの布陣でしたね。

ザック以降、アギーレ、ハリルと「4−3−3」の布陣がほとんどだった日本。
そこに「トップ下」のポジションがある久しぶりの「4−2−3−1」。

僕にはそれがハマっているように見えました。

やはり本田は配置するならトップ下が一番機能するんだなと。それは本田が、ではなく、日本が、です。

本田は2列目ならば左、真ん中、右どこでも一定のレベルでプレーができるポリバレントな選手ですが、ひとつクセというか傾向があって、どうしても真ん中によってしまうんですね。

これは香川にも言えることです。両者どうしてもゴールに近い位置に本能的に寄ってしまう。

なので本田、香川をサイドポジションに配置すると日本は真ん中に選手がごちゃごちゃと固まり攻撃は停滞するわ、守備ではサイドエリアを制圧されるわとロクなことが無かったわけです。


ハリルの考えは明確でした。

それならばスターティングメンバーでは使わない。


相手が消耗し、そういった隙が決定的になりにくい(ならないとは思っていない)状況でスーパーサブとして使う。

おそらくハリルがそのまま監督をしていたら本田、香川はどちらか一人だったと思います。

西野監督の方法論は真逆でした。だったら最初から真ん中に置けばいい。

スイス戦の前半。僕はうまくやってるなと観ていました。

なにが良かったって「プレッシング」が決まっていました。


もちろんスイスの運動量がまったく本気じゃなかったという点は差し引かなきゃいけませんが、それでも前半30分あたりまでのプレッシングは久しぶりに効いているように見えました。


本田を中央に置くことで、日本の布陣は変な穴も無く、そして果敢にに仕掛けたハイプレスでスイスに決定的な仕事をさせず、緊張感ある均衡を作ることはできていたと思います。


ただ残念なことにそれは30分限定だったんですね。

この日ワントップでスタメンを飾った大迫のコメントです。


「このやり方だとどんな選手でも30分で死ぬ」


思いだすのは2010年大会直前の岡田ジャパンです。まったく同じ症状でした。


当時岡田監督はその状況に対して「選手ひとりひとりがもう1キロ多く走るしかない」と言ってましたね。


それに対して僕は「選手ひとりひとりがもう1キロ少なく走ればすむようにするのが監督だろ!」って突っ込んでました

ハイプレスを90分間行うことは、さすがのクロップでも不可能です。


一人あたりの運動量を抑えるため等間隔のポジショニングの徹底。効率的なカバーリングの構築。プレッシングをかけるエリア、選手の選定。
そして選手交代を駆使してベンチを総動員する選手運用。etc.etc


90分間行うことが不可能なはずの「プレッシング」をまるで90分間継続しているように相手チームに感じさせる。


それが現代サッカーにおける名監督達のそれぞれの「マジック」なんです。


しかもプレッシングにはもはや様々な対抗戦術も開発されているわけで、ますますプレッシングを機能させ続けることは困難になっていたりします。


この日のスイスがやっていたことはまずサイドから攻め、フリースペースを作っておいてのサイドチェンジ。

それとサイドの深い位置へロングボールでくさびを打ち、ディフェンスラインを下げさせる。

ワンタッチで横にボールを動かし、プレスを空転。消耗を誘う。

なにも特別なことじゃありません。欧州ならもはや降格チームですらやっていることです。
これに対抗しながら、いかに効果的にプレッシングを機能させられるかが、現代サッカーの勝負所なんですね。


これに対して日本は竹やりでB29を落とす!の精神で走りぬいたものの、前半30分で足は止まり、酒井高徳のファーストプレスがかわされただけで、カバーリングの連携が無いので決定的なピンチをむかえてしまい、最後にはファウルを強いられるシチュエーションを作られてしまいました。

精神論で決まるほど、プレッシングは甘くない、というわけです。


残り2か月でチームを作らなければいけない西野監督にとって、バランスに優れたオールラウンドなチームを作ることは不可能でしょう。

かくなる上はひとつの強みに賭けたバクチ。マルチで流すなんて悠長なことではなく「1点買い」の大勝負で大穴を当てるしかないんです。

僕はスイス戦前半30分のプレッシング。あれに賭けるしかないと思っています。


考えるべきはどうしたら「どんな選手でも30分で死ぬ」状況を改善できるか、ではないでしょうか。


ロンドン五輪。そして佐々木監督のなでしこ。日本サッカーが好成績をおさめたその時のサッカーはプレッシングサッカーなのです!

僕はずーーーーーっと日本式のサッカーは「カミカゼプレス」だと思っています。


数々の名マラソンランナーを輩出する持久力。勤勉に、忠実に約束事を守る集団性。将棋という競技を生んだ戦国時代からの布陣へのこだわり。耐えがたきを耐え、忍び難きを忍べるメンタリティ。そしてここ一番、いくよ一発真珠湾攻撃の大博打を打てる捨て身の覚悟。


プレッシングしかないんですよ、我が日本は!


だがしかし!西野ジャパンにはどうあがいても本番まであと1試合しか猶予は残されていないのです!


そしてその最終調整試合パラグアイ戦。西野監督はサブ中心の戦いを明言しています。


軸となるメンバーはあくまでも固定して、そこにプラスアルファをもたらすサブの選手を試す、という意味合いなら良いのですが…


今の日本には貴重な貴重な1戦です。Bチームのような布陣で、狙いも意図もなく、貴重な1戦を浪費することが無いことを祈ってます。


それではまた試合後に!













ロシアワールドカップ(その1) fgo vol.111 

itch の Football goes on vol.111
ロシアワールドカップ その1


みなさん!4年ぶりです!最近はもう侍ブルーよりも思いっきりドラゴンズブルーな日々でしたが、ワールドカップまでほぼ2週間。

つまりはブラジルからはや4年!はやい、はやすぎるぞ30代後半の日々は!

そんな訳で超久しぶりの「Football goes on」をお届けします、もちろんお馴染みの長文で(笑)

今回は我が代表の最終メンバーについて書いてみたいと思います。

ハリルホジッチの電撃解任から西野監督の就任、そして最終合宿メンバー27名の発表というのがここまでの我が代表の流れ。まあ解任が半年は遅いんじゃないかとか、切る理由が戦術的な問題じゃなくて外人なのにコミュニュケーション不足ってとか、代役が決まっていないのに切ったの?とか、いろいろ言いたいことはありますが今回は割愛。

話は27名のメンバー発表から始めたいと思います。

まず第一印象は「ベテランに頼りすぎ」ということですね。27名中30歳以上の選手が実に9人。1/3が30歳以上という構成でその平均年齢は27.8歳です。
注目の中島翔哉(23)も落選。代わりにハリルジャパンでは舞台から消えつつあった本田、香川、岡崎などが復帰。

これが雇われ外人監督の選択ならまだ分かります。彼らは結果のみで判断され、その後の監督人生も左右される。
日本の未来なんて考慮せず、目の前の結果を追うために実績のあるベテランを並べるのも西野監督の前職の肩書は「日本サッカー協会 技術委員長」です。日本サッカーの技術向上と、継続的な強化に取り組むセクションのトップ。
その人物がベテラン重視のセレクションをした。確かに監督を引き受けた以上、前職の理想はある程度捨てないといけないのは分かるけど、いくらなんでもこの大会から4年後のことを捨て去りすぎな気が…


例えばグアルディオラ、モウリーニョ、クロップ、シメオネなど欧州の第一線で活躍する名監督達は、突然無名の若手選手を抜擢することも珍しくありません。
自らのサッカーが明確なので、その期待する役割も明確。それができれば年齢は関係ない。むしろ若さへの可能性を期待して積極的に使うほどです。


西野監督は「戦術家タイプ」というよりも、個の力のある選手を上手く機能するように選び配置する「セレクタータイプ」というのが僕の印象です。
時間的な余裕の無さからか、今回の人選では自らの好みは封印し、誰もが納得する最大公約数的なセレクトをしたなあというのが第一印象でした。


さて、西野監督はこの27名から最終登録の23名をどのように選ぶのか。


実はワールドカップの23名の選び方は基本けっこうシンプルなんです。各ポジションに2人づつ、それに第3GKを含める。つまり11×2+1=23。これです。
ただ、それは「これまでは」の話で、近年はやや変化が表れています。その変化を生んだのが「ポリバレントな選手」ってやつです、

一人で複数ポジションをこなす「ポリバレントな選手」がいることで、「各ポジションに2人づつ」という縛りが無くなり、監督の自由度は増すわけです。
逆に言えばそこに各チームの監督の個性が見えることになります。


西野監督が会見で中島の落選を問われた時に「ポリバレントさの欠如」をあげていましたね。西野セレクトの基準にも近年のトレンドである。
ポリバレントという基準があることは間違いありません。


それをふまえた上で、まずは23名の基本「各ポジションに2人づつ、それに第3GKを含める」で考えてみます。


ダブついているポジションから落選者が出るはずです。それはどこか?まっさきに上がるのは「左サイドアタッカー」でしょう。
原口、乾、宇佐美、あるいは香川、武藤もここにカウントされるとすれば5名。ここから少なくとも1名、あるいは2名落選者がでるはずです。


落選した中島も「左サイドアタッカー」にカウントされていたはずです。
好選手がひしめく日本のストロングポイントと言ってもいいポジションだけに、その競争も熾烈。


逆に「右サイドアタッカー」はもう無風状態と言っていでしょう。ほぼ本田一択状態です。本田は2列目全てとトップをできる上に、チームで唯一の左利き。
プレースキックのことも考えると、怪我でもない限り「当確」です。浅野はそのバックアップ、スーパーサブ的な存在でしょう。
ここにはクラブ事情で招集が見送られている久保もいます。入るとすれば浅野との交代で入るのでは。


次にダブついているポジションは「ボランチ」。守備的MFです。長谷部、青山、山口、井手口、柴崎、そして個人的に最も期待する三竿。
2〜3のポジションに対して6名。一見、各2名の法則に適しているように思えますが、このポジションはもっともポリバレントさの影響を受けるポジション。
特に4−3−3、4−1−4−1、3−4−2−1などには実質その椅子の数は1〜2。


ここからも1名落選者がでそうです。長谷部は安泰でしょう。キャプテンであるとともに、3バックのリベロ役というポリバレントさ、本田とともに「当確」です。
3バック、しかも「広島式」3バックに意欲的な西野監督にとって青山の存在も欠かせないはず。実績のある山口も残したい。
攻撃的なオプションで柴崎も残したい。そうなると消去法的に井手口か、三竿か、ということになりそうです。


個人的には身体能力の高さでボールを奪え、奪ったボールを的確に長短振り分ける事ができ、ポゼッション時には散らしまでできる「和製ブスケツ」三竿は是非とも残してほしいんですが…


後はセンターバックでしょう。吉田、槙野、昌子、遠藤、植田、ここから1名。


西野監督はここにきて3バックに意欲的です。そうなると吉田を差し置き「当確」と言えるのはむしろ槙野でしょう。次に吉田、ここまでは「当確」。
代表で長くバックアッパーとして帯同してきた昌子も残るはず。そうなると遠藤、植田のどちらかが外れそうです。


以上、長々と考察しましたが、それらを最終判断するのが、ガーナ戦というわけです。ガーナ戦はこのポジション争いを軸に観ることをおススメします。


西野監督は3バックに2シャドーJで流行っている「広島式3バック」にどうやら意欲的なようです。ただこのシステムは世界では一般的ではありません。
つまり海外組はその独特なガラパゴスサッカーにフィットできない可能性があります。


「広島式3バック」には決定的な弱点があります。ウイングバックです。詳しくはまたの機会にゆずりますが、現代のインテンシティーの高いサッカーで、90分間一人でウイングバックを機能させられる選手はいません。世界でも。特に世界の強豪を戦う際にはこのシステムは実質5−4−1になり下がります。


その問題と、抱える選手の組み合わせ。西野監督の選択やいかに?最後に個人的な落選者予想をしときます。


まずは怪我の影響とポリバレントの無さから乾。実績の無さと3バックの経験の少なさから植田。そして残念ながら若さと実績の少なさから三竿(ほんとは残してほしいし使ってほしい!)
後はガーナ戦で結果を出せなかったら浅野と久保の交代はあると思います。


最後の一人は香川です。いや、たぶん西野監督は選びますよ。ただ、3か月実戦から外れていて、コンディション的には90分できない以上スタメンで使えない。
それではスペシャルな何かでゲームの流れを変えられるのかと言えばそれも怪しい。トップ下のみというポリバレントさの欠如。落選する理由は揃いすぎています。


香川が生き残れるとしたら、2シャドーで機能するという結果をガーナ戦で証明するしかありません。
中島も、おそらく落とされる三竿も、つまり未来を犠牲にする何かを香川が見せてくれることを期待しています。
 

それではガーナ戦後の23名発表後あたりにまた!

CL決勝前必読!ポストポゼッションサッカー時代(その4) fgo vol.110 

itch の Football goes on vol.110
ポストポゼッションサッカー時代 その4


現代サッカーの戦術トレンドの歴史をを読み解くシリーズ「ポストポゼッションサッカー時代」の第4弾いきましょう!

前回では「ポゼッションサッカー」と「対ポゼッションサッカー」の対立構造の流れをおおまかに説明しました。そしてその流れにそった対決が今季のCL決勝バルサ×ユベントスであると。

おさらいすると「ポゼッションサッカー」と「対ポゼッションサッカー」はポゼッション対プレッシングがメインの対立になっているという話でした。分かりやすくいえば「バルサ対ドルトムント」だと。

その流れの中に現れたのがもうひとつの「対ポゼッションサッカー」である「カテナチオ」です。

イタリア語で「かんぬき」を意味する「カテナチオ」とは、自陣ゴール前を人数で埋めて固め、そこからカウンターを仕掛ける「後陣速攻」戦術です。

ドルトムントの「前陣速攻」は、前がかりに相手ゴールに近い位置でプレッシングを行い、奪った勢いそのままに相手ゴールを強襲するスタイル。要するにボールを奪う、守備の網を引く位置の違いですね。

「カテナチオ」発祥の地であるイタリアは、その守備戦術を駆使してW杯を4度制覇しています。しかしあまりに守備的な「カテナチオ」は、攻撃サッカーに傾倒する現代サッカーにおいて衰退。その生みの親であるイタリアでさえ「脱カテナチオ」を宣言する事態になっていました。

しかしその時代遅れの「カテナチオ」が、あろうことか攻撃サッカー大国スペインで突如復活します。シメオネ率いるアトレチコマドリーです。

シメオネが就任した頃のアトレチコマドリーは、古豪としての伝統だけがある中堅チームにまで成り下がっていました。

そんなチームに現役時代そのままの闘将として現れたのがシメオネです。当時のアトレチコは借金を抱え、自軍の選手を切り売りしてなんとかやりくりをしている状況でした。予算不足からスター選手を多額の移籍金で獲得する事などできません。

シメオネの方法論はシンプルでした。我々はレアルやバルサのような貴族ではない。労働者だ。全員で汗をかいて、全員で戦って、恵まれた貴族たちに一泡吹かせよう。

そしてシメオネが採用した戦術が「終わった戦術」とされていた「カテナチオ」だったんです。

「カテナチオ」は後陣速攻戦術です。確かに危険なゴール前のバイタルエリアを人で埋めれば失点のリスクは減りますが、そこから遠い相手ゴール前まで攻め上がり、ボールを失えば直ちに自陣ゴール前まで戻る、その繰り返しは凄まじい消耗度です。

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徐々に選手の足は止まり、前線と最終ラインは間延びし、スカスカの中盤は相手の使い放題。自陣に釘づけになり、必要以上に相手のポゼッションを上げてしまうワンサイドゲームになりがちです。

実はこの「カテナチオ」を最初に「対ポゼッションサッカー」として採用しだしたのはモウリーニョが先でした。インテルで「カテナチオ」を使いCLを制覇しています。

しかしそのモウリーニョですら消耗度の高い「カテナチオ」を持続させる事ができず、最終的にはプレッシングとの併用に流れていきました。

しかしシメオネはその「カテナチオ」の泣き所である消耗度の高さを、チーム全員が例外なくハードワークすることで成立させてしまいます。

点を取る役割のストライカーであるファルカオ、ジエゴ・コスタですら例外はありません。全員がまず自陣で相手を待ち構え、ライン間の距離をキープさせ、90分間間延びさせない。

旧来の「カテナチオ」では重労働を免除されていたストライカー。それが逆に穴となり相手の一方的な攻撃を生んでしまっていましたが、シメオネのアトレチコでは逆にツートップが一番キツいポジションです。

相手ボールのたびに自陣まで戻る事が義務付けられ、相手のピポーテにしつこいプレッシングをすることが求められます。もちろんマイボール時には自陣から相手ゴールまで殺到する事も求められます。

しかし初期設定に無理があるので、流れの中からはどうしても点がとれなくなりがちです。そこでゲームの流れとは関係なく点が奪えるセットプレーに全力をかたむけます。

そうして「カテナチオ」を成立させてしまうと、面白い現象が起こりました。


ビッククラブもスモールクラブも基本的に「ポゼッションサッカー」に染まりきるリーガで、アトレチコマドリーは次々と勝ち点をあげていくんです。

ついにアトレチコは「カテナチオ」でリーガ制覇を成し遂げてしまいます。

その有効性は決してリーガ限定ではありませんでした。CLの舞台においてもアトレチコは決勝へ進出する事にも成功します。

シメオネの「カテナチオ」とは、要するに「カテナチオ」の最大の利点である安全性を確保しながら、構造的欠陥をハードワークで最小限化させる、というものでしょう。

中途半端な「カテナチオ」は「ポゼッションサッカー」の格好の餌食ですが、突き抜けた「カテナチオ」はいまだ有効であることをシメオネは証明しました。

そしてそれに続いたのが、今季のファイナリストであるユベントスです。

現役時代にシメオネとおなじく「潰し役」だったコンテが、ほぼ同時期にイタリアの名門に就任しました。

面白い事にコンテもまたシメオネと同じくハードワークをベースに、ユベントスに伝統の「カテナチオ」を復活させます。

コンテの「カテナチオ」の方が、さすがはカテナチオ母国だけにより純度が高く、4バックを多用するシメオネよりもさらに後方中央をガッチリ固める3バックを採用していました。

しかしこのサイドを捨てた実質的に5バックである3バックはやり過ぎでした。サイド攻撃に乏しいセリエAでは通用しても、逆にサイド攻撃がメインとなりつつあるヨーロッパでは通用しませんでした。

そのコンテの「カテナチオ」にバランスをもたらしたのが現指揮官のアレグリです。


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アレグリは当初は選手が慣れている3バックを採用しましたが、徐々に4バックへ移行。ドメスティックなものからヨーロッパナイズされた「カテナチオ」に移行する事に成功しました。

「カテナチオ」は「対ポゼッションサッカー」戦術の中では少数派です。しかしそれが故に、「対・対ポゼッションサッカー」化しているバルサにとっては、もしかしたらもっともやっかいな戦術かもしれません。

今季のバルサは「対ポゼッションサッカー」対策として速攻を多用します。プレスの網を避ける為にロングボールも多用します。

前がかりになってしまうプレッシングの弱点を突く形です。押し上げられたディフェンスライン後方に広がるスペースを「MSN」で狙い撃ち。そのスタイルでリーガ、CLで得点を量産しています。

しかし「カテナチオ」には後方に広がるスペースは存在しません。ユベントスを相手にバルサは今季最大の武器が封印された状態、といえます。

現に今季のバルサは、リーガで徹底的に引いてきたチームに対して取りこぼしています。ペップバルサの時には得意にしていた、引いた相手に対しての圧倒的な「ポゼッションサッカー」はもはやありません。

今季ファイナルは「ポゼッション」×「対ポゼッション」という、近年続いてきた対立軸に新たな局面をもたらす対決になる。その流れが掴めてもらえたでしょうか。


CLを観ていてつくづく思うのが、サッカーという競技がいまだ完成していないという事です。


例えば野球。内野は5人、外野は3人、フォーメーションはもはや完全に決まっています。


おおよそ100m×70mのスペースに11人を配置し、手を使わず相手ゴールに多くボールを入れた方が、勝ち。サッカーとは誕生してから様々な変化、流行がありつつも、そのあまりの自由さに、いまだ「これだ」という完成形が無い不思議な競技です。

でも、だからこそ面白いんです。完成してないからこそ、ペップバルサのような突然変異のウイルスのような対処できないチームが突然現れる事もある。

世界最高レベルのチャンピオンズリーグではそれが現在進行形で確認する事ができます。いま、世界のサッカー界で、何が起きているのか。


それを知らずに世界一の国を決める戦いであるワールドカップに挑むのは、地図を持たずに大海原に漕ぎ出すのと同じだと、僕は考えています。


スターがひしめく華々しいCLの舞台と、サッカー日本代表はつながっています。ワールドカップとは、そのスター達を倒しにいく戦いです。

世界のスター達の夢のようなプレーに酔いしれるその頭の片隅に、どうしたらこの人達を倒せるのか、そんな風にCLを観戦するとより興味深く、そしてより身近に、楽しめるんじゃないでしょうか。


ワールドカップへの戦いがいよいよ6月から始まります。アジア3次予選です。


CL決勝はその戦いに持ち帰れる物がたくさんあるはずです。はたして今年はどんなサッカーの歴史が更新されるのか?そこはやっぱり生で!みんなで!盛り上がって観戦しときましょう!


幸いにCL決勝はウィークエンド、土曜日開催です。翌日は日曜日、心配は無用!今年はあんまり観てないんだよなあ、なんて人も大丈夫!我々の仕掛ける「De La Football Live!」は「みんなで楽しく」がモットー!ばっちり同時解説させてもらいますから!


そんな訳でいよいよ迫ったCL生観戦イベント「De La Football Live!」ファイナル!フットピーポー達よ!会場の栄「imiri」で待ってるぜ!


詳しくは詳しくはイベントHPをチェック!(ココ→http://delafootball.wix.com/delafootballlive)ではでは~会場にて!


ポストポゼッションサッカー時代(その3) fgo vol.109 

itch の Football goes on vol.109
ポストポゼッションサッカー時代 その3

前回のつづき

「超ポゼッションサッカー」とは何か?現在進行形でまだ完成していないので明確な説明が難しいのですが、要するにプレッシングを無効化するポゼッションの模索です。

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ペップのバイエルンでは攻撃時にはもはやフォーメーションは存在しません。おおまかに右と左にそれぞれロッベンとリベリーを頂点にするトライアングルを2つつくり、その際のポジショニングは自由にポジションするロッベンとリベリー次第という調子です。

プレッシングとは相手選手を自分たちの布陣の網で包囲してボールを奪う戦術なだけに、形を持たないバイエルンの攻撃はプレッシングのかけようがありません。

今季はそれがさらに進化し、バイエルンの攻撃時には右と左に五角形が二つあるだけのようなとんでもない事になっています。

それを実現する為にペップはどんどん前線へ攻撃参加する人数を増やしていくため、3バックを多用するようになりました。センターバックが3人のスリーバックではありません。むしろ逆、センターバック2人、時には1人にサイドバックを足す超攻撃的な3バックです。

さらにバルサ時代もこだわっていたプレッシングを、ゲルマン民族のフィジカルを利用してより徹底的に行っています。「対ポゼッションサッカー」戦術のプレッシングを取りいれる真意、それはあくまでも攻撃のため、ボールを保持するために、です。

ボールを保持する時間を増やすために、相手ボールの時間を1秒でも早く減らす。そういう理屈です。

おそらくペップの理想とは永久にボールを保持しつづけ、永遠に攻撃を行い続けることなのではないでしょうか。たしかにそれが実現できれば負けるどころか、点を取られることもないでしょう。なぜならサッカーとはボールを持っていないと攻撃できない競技だからです。相手は永遠に攻撃ができない。そういう理屈になります。

しかしペップの「超ポゼッションサッカー」はあまりに途方も無く、ただでさえ実行することに選手を選ぶ「ポゼッションサッカー」の条件がより厳しくなり、それこそ選ばれし者のみが実行できるサッカーになってしまっています。

それに比べ、そのペップの後を継いだルイス・エンリケのバルサが出した答えは対蹠的に現実的です。

プレッシングやカウンターの餌食になりやすい無駄なパス回しを制限し、「ポゼッションサッカー」を行う選手を、それが確実に実行できるスーパースターのみに制限する。

各駅停車のショートパス回しは相手の守備隊形が整っている時か、こちらが休んだり時間を使いたい時だけ。プレッシングで前がかりになった相手の後方が空いてる時には、怪物的なスリートップに長いボールを使ってでも勝負させる。

「ポゼッションサッカー」が抱えるリスクを取り除き、良い所だけをバランスよく使う。「対ポゼッションサッカー」へ対抗する「対・対ポゼッションサッカー」という考え方です。

ですから今季CLのセミファイナル、バルサ×バイエルンは非常に興味深かったです。はたして「ネクストポゼッションサッカー」はどちらの方法論なのか。

ロッベン、リベリーというペップのサッカーを行う上で絶対的な駒がいなかったので、僕の中で結論は出ませんでした。しかし結果はより現実的なエンリケ・バルサの勝ち抜けです。決勝の地に「ポゼッションサッカー」代表として進出したのはエンリケ・バルサでした。本当にこの1戦はベストメンバーで観たかった…

そして一方の相手はユベントスです。かの守備大国の代表としてこれまでヨーロッパのゴールに鍵をかけ続けてきたユベントスが、長い時をへて復活。決勝の地までやってきました。

その守備方法はカテナチオ。「ポストポゼッションサッカー」時代の戦術争いに、伝説のカテナチオをバージョンアップさせ、大会最少失点という結果をひっさげて、ユベントスが「対ポゼッション」の代表として、バルサと対峙する事となりました。

つまり、奇しくも今大会の決勝戦は近年世界のサッカーで対抗軸としてあった、「ポゼッション」vs「対ポゼッションサッカー」その構図どうりの対決となったわけです。

前回の冒頭で今大会の決勝の組み合わせは、象徴的なチームの対決となったと書いていたのは、つまりはこのクソ長い前提があったわけです(笑)でもこのサッカー界の歴史の流れを知ると、ぐっと決勝戦が面白くなりませんか?


次回はプレッシング全盛の「対ポゼッションサッカー」戦術に突然現れた「カテナチオ」。その特異性をアトレチコマドリーとユベントスをもとに書いていきます、決勝戦の前にね!


次回に続く