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「ベスト8総括 <時代はロングカウンター?>」FGO vol.122 

itch の Football goes on vol.122
ロシアワールドカップ その12


「ベスト8総括 <時代はロングカウンター?>」


いやー観ました?デブルイネのリアルイーグルシュート。松山君ばりの。あとアザールとドウグラス・コスタの「お前がそうなら俺はこういくね」的なドリブル対決。

どっちも超絶なんですが、僕的にはドウグラス・コスタ、なんすかありゃ。ファベイラの空き地感丸出し、ストリート直系フェイント出しまくりドリブル。だーれも止められやしない。しかし守備は一切しないからスタメンじゃないという(笑)。俺の中でロッベンの後継者をやっと見つけました。

あとモドリッチ。前から世界で一番好きなゲームメーカーで、モドリッチ観ながらサッカーを学ぶ日々なんですが、何が好きって一切プレーを間違えないところだったんですけど、そのモドリッチがプレー原則とか無視して強引に間違えまくってでも、ボール取られまくってでも、それでも攻めまくった、あの延長前半。あの天才にそうさせる大会。


ビバ、ワールドカップ!やっぱりワールドカップベスト8の試合は面白い!


早いものでロシアワールドカップのクォーターファイナル4試合が終わり、ベスト4の国が出そろいました。今回はここまでのロシアワールドカップを観てきて感じた、今大会のトレンド、傾向について書いてみたいと思います。


決勝トーナメントに入りここまで12試合。4つの勝者と12の敗者がここまで生まれた訳ですが、そこに面白い傾向があります。

今大会は「堅守速攻型」チームが猛威をふるっているということです。

ベスト4のうちでもベルギー、フランス、イングランド、3チームがいわゆる「堅守速攻型」です。

それ以外にもウルグアイ、スウェーデン、そして開催国のロシア、グループリーグや決勝トーナメント1回戦でアップセットを演じたチームの多くが「堅守速攻型」。

その対極である「ポゼッション型」。筆頭のスペイン、そして前回王者のドイツ、アルゼンチン、日本などは早々に舞台から姿を消してしまいました。

2010年南ア大会でスペインが頂点を極め、そこから続いた「世界総バルサ化」の流れ。そして2014年ブラジルでもドイツが証明した「ポゼッション型優位」の流れが今大会で大きく変わろうとしている気がします。

「堅守速攻型」とひとくくりにしましたが、「堅守速攻型」にも様々なタイプがあります。近年のトレンドは「プレッシング」でした。

高い位置から「プレッシング」を行いボールを奪い、相手の守備が揃わないうちにそのまま高い位置から攻め切る「ショートカウンター」。

これこそが理論上もっとも効率のいいサッカーだと、その精度、強度を各チームが競うというのがここ数年のヨーロッパの流れでした。

しかしその流れに反するチームがなんと史上初(カップ戦時代はのぞいてリーグ方式になってから)のCL2連覇を達成してしまうのです。


そう、ジダン率いるレアルマドリードです。


ジダンのマドリーは「堅守速攻型」でもその方法論は「リトリート」からの「ロングカウンター」。

バイタルエリアにしっかりと守備ブロックを作り、低い位置に引く守備「リトリート」で攻撃を跳ね返し、セカンドボールを拾ったら低い位置から少ない手数で前線に残した選手にボールを預けて攻め切る「ロングカウンター」。

世界が、その本家のイタリアでさえが見放した非効率的な守備方法です。

なにが非効率的かというと、守から攻に切り替わった時でしょう。まず前線に残した選手にパスを通すには高精度のロングパスを通す選手が必要です。

さらにそのパスが通ったとしても、前線に残った選手はほぼ一人でカウンターアタックを完結させる必要があります。

そのため「堅守」はできても「速攻」が成立しない。結果、「堅守」一辺倒になり、相手チームに一方的にゲームを支配され、90分間守り切ることができず破綻する。

それが世界から見放された旧「ロングカウンター」でした。

しかし、爆発的な運動量でセカンドボールを制すことができる選手。高精度のロングパスを確実に通せる選手。そしてたった一人でカウンターアタックを完結させゴールを量産する選手。そんな夢のようなタレントが同時に複数いたとしたら?

化け物のようなスーパースターで「堅守」の安定性はそのままに「速攻」を成立させてしまった。

それがジダンのマドリーです。

「プレッシング」からの「ショートカウンター」は決まれば効果は絶大です。ただし機能させるにはチームに複雑な戦術を浸透させ、チームを走らせ、失敗すればGKと即1対1になるというリスクを管理し、消耗度が高いので選手の疲労もをマネージメントしなければいけない。

どうしても「ハイリスクハイリターン」であり「机上の空論」になりがちです。

そんな高級戦術を抱える選手の質でできない弱者は、しょうがなく「リトリート」からの「ロングカウンター」で戦っていた。

いわば「弱者の戦術」です。ところがまばゆいタレントを抱える本来ならば「強者」が「弱者の戦術」をやりだした。

発端はモウリーニョのチームだったと思います。それにシメオネのアトレチコが続き、そしてジダンのマドリーの出現。

実はこのシンプルな守備戦術はナショナルチームと相性がいいんです。

限られた日数で、しかも基本的に補強ができないナショナルチームではどうしても高度で複雑な戦術は機能させるのが難しい。

チームを作る時間が足りない分、どうしても戦い方はシンプルにならざるをえません。

そんな条件の中、国内のクラブチームのユニットをそのまま移植する方法論で、中身はバルサのスペイン、バイエルンであるドイツ、この2つの国だけがクラブサッカーレベルの戦術をワールドカップに持ち込むことに成功していた。

しかしその母体であるクラブチームのサイクルが切り替わるタイミングと連動して、スペインもドイツもかつてのレベルで複雑な戦術を機能させることが難しくなってきた。

そんな「ポゼッション型」チームがレベルを維持できなくなったという事情が、「堅守速攻型」の躍進の追い風にもなっているようです。


そしてもひとつが選手のフィジカル能力の飛躍的な向上ではないでしょうか。


「ロングカウンター」の非効率な点は、いわゆる無駄走りの多さもありました。

マイボール時にカウンターをしかけようと思えば、低い位置から相手ゴールまで激しいディフェンスから休む間もなく長距離を全力疾走しなければいけません。

結果、時間の経過とともに「堅守」も「速攻」も疲弊していき、どちらも成立できなくなってしまう。

ところが近年のサプリメントやトレーニングの進化により、サッカー選手のアスリート化はますます加速。

もはやどんなにテクニックがあってもスピードや運動量の無い選手はピッチに立てない時代になりつつあります。

その流れが「ロングカウンター」の非効率性を覆い隠している。

結果「ロングカウンター」のメリットだけが際立つ。

ただしくどいようですが、それには並みの選手じゃ成立しません。タレントが不可欠。


あらためて生き残った4チームをそんな視点で見ると、ひとつのチームが浮かび上がります。


前提である固い守備陣。激しい運動量で相手の中盤を潰しセカンドボールを拾える中盤。長短高精度のパスで低い位置からカウンターの起点になれるゲームメーカー。そしてたった一人でロングカウンターを成立させる化け物のようなアタッカー。

さらに自陣ゴール前から相手ゴールまでたった5秒で完結する超高速カウンターを、90分を超えた時間帯で実行できる爆発的なフィジカル能力も備えている。


そう我が日本代表を大逆転で沈めたベルギーです。


おまけに、決定的な1点もののピンチをスーパーセーブで無かったことにしてくれる守護神までいますこのチームには。

現実路線でやはり「ロングカウンター」を採用していた優勝候補ブラジルも、カウンター合戦の末に力負けしてしまいました。

個人的に現時点でロシアワールドカップ優勝の本命はベルギーだと思っています。

ベルギーの不安な点をあげるとすれば「大きな大会での経験の無さ」でしょう。

確かに選手たちは所属チームでCLなど大きな大会での経験があります。

しかしやっぱりワールドカップは別物なんです。20回で8か国しか優勝チームが生まれない新参者には厳しい大会。

率いる若きスペイン人監督ロベルト・マルティネスも「ウィガンでFAカップを取ったけど同じ年に降格させた」という一発屋的な実績のみで、ナショナルチームの監督は初経験。

「勝てば決勝」というセミファイナルはこれまでの大会でも、プレッシャーに負け良いチームが消え去るタイミングでもありました。

しかも相手は優勝経験国、しかもその時のキャプテンが率いるデシャンのフランス。

今大会の事実上の決勝戦であるセミファイナル、ベルギー×フランス。ベルギーにとっての試練の時です。

9番目の優勝国が生まれるかは今夜の大一番にかかっています。平日27時キックオフ。ええ、分かっています。しゃーないス。睡眠時間を捧げましょう!


というわけでそろそろ仮眠を取ろうと思いますのでこの辺で。それではファイナル前にまた!