「組織化された混乱ーCLファイナルー」FGO vol.78 

Football goes on vol.78

「組織化された混乱ーCLファイナルー」

 フットピーポーよ!ロッベンがっ!ロッベンがやってくれたぞーーーー!いやあ前半の1対1であっさりバイデンさんにシュートぶつけた時には、やっぱりロッベンは持ってない男か…と思いきや!89分に決勝ゴールを流し込み、歓喜の疾走をするロッベン観てて泣きそうになりました。よっかたね!ロッベン!

 昨年、ホームのアリアンツ・アレナで迎えたCLファイナルで、決めればほぼ勝ちというPKを失敗。戦犯の烙印を押されつつも、雪辱にのぞんだユーロではまさかの予選敗退。「今でも去年のファイナルの夢を見る、もちろん悪夢さ」と語って挑んだ3度目の正直の舞台で1アシ1ゴール!自らのトラウマを超えてみせたロッベンのゴール、いやあ震えました!

 しかし面白いファイナルでした。前回注目ポイントに上げた「戦力不足を埋めるドルトムントの戦術」凄かったですね。最初から凄まじいプレスを仕掛けて序盤は完全にペースを握っていましたね。

 果敢なプレッシングはやっぱり試合を面白くします。スリリングで、集中度の高い締まった試合になるし、何よりその全てを振り絞るような戦い方に心が動かされます。美しい敗者でした。

 高い位置で何度もボールを奪い、あと一歩というシーンを何度も作り出したドルトムントには、やはりゲッツェの不在が痛かった。ロイスが良かっただけに、あと1枚、2列目に脅威を与えられる選手がいたら。あの前半でドルトムントが先制する事ができていたら勝利はドルトムントの方に転がっていたような気がします。

 その前半不利の状況で、バイエルンで火消しに大活躍だったのがハビ・マルティネス!相方シュバインシュタイガー(加地への汚いタックルは忘れない)がメタメタな出来だっただけに、いつもよりも1.5倍は負荷がかかる苦しいタスクを見事にこなしてましたね。さらに守備だけじゃなくてしっかりチャンス時にはボックスにも顔を出す。まさかスペインからこんな「ボックスtoボックス」の凄い選手が生まれるとは思いませんでした。ピポーテの枠に収まらない、スケールのでかい選手です。ブスケツは代表でウカウカしているとポジション失うぞ!

 この試合を観ていて印象的だったのがロッベン+リベリー+ミュラー+マンジュキッチ。この4人の動きでした。ここに現在のモダンフットボールがたどりついた理想があるような気がしたんです。そしてこのポイント、それこそが今の我が代表の問題だと、雨の豊スタのやるせない試合を観ていて思った訳です。

 バイエルンの布陣4-2-「3-1」、その「3-1」の基本ポジションはワントップにマンジュキッチ、その下にミュラー、右にロッベン、左にリベリーだけど、得点シーンを思い出してみて下さい。全てリベリーとロッベンの連携で崩していましたよね?本来、両サイドの一番遠い関係の「ロッベリー」が、すぐ傍で連携している。こんなシーンが今季のバイエルンには多い。

 顕著なのが1点目。「中央トップ下付近」のエリアで敵を引き寄せた「左」MFのリベリーが、「左サイド」に抜け出した「右」MFロッベンにスルーパス。左サイドをえぐったロッベンの折り返しを、ワントップのマンジュキッチがゴール。

 ロッベン、リベリーは自分の担当ポジションから大きく離れてプレーしています。いわゆる「流動的なポジショニング」ってヤツです。しかしここでのポイントはこの得点に絡んだ3人よりもむしろまったく絡んでいないミュラー。その時、ミュラーはどこにいたのか?

 その時ミュラーはロッベンが空けた右サイドにいたんです。バイエルンは右MFが左にいたり、左MFがトップ下にいたりと、制限なく自由にポジショニングをしているように見え、実は基本布陣4-2-3-1の形は、ミュラーのポジショニングによってキープされていたわけです。右に張るミュラーをマークしなければいけない左サイドバックのシュメルツァーが、マンジュキッチに寄せ切れなかったのは責めれません。

 仮にこの得点シーンのクロスが大きくズレて、ドルトムントの左サイドまで転がっていったとしましょう。「失敗のスポーツ」であるサッカーはその確率の方が高い。しかしそうなってもこの時のバイエルンなら別に問題なし。右に構えるミュラーがそのボールに詰めてシュート。もしくはもしシュメルツァーがボールを拾い、ドルトムントの攻撃のターンになったとしても、エリアをカバーするミュラーが立ちはだかる事で素早いカウンターは不可能。バイエルンは体勢を整えて次のチャンスを狙えます。

 「流動的なポジショニング」というと、どうも自由勝手に、それぞれ好きなところでプレーしてもいい、と解釈してしまいます。しかし僕はそれは違うと思っています。「流動的なポジショニング」にも、もちろん「機能している流動的なポジショニング」と「機能していない流動的なポジショニング」があるんです。

 今回のCLセミファイイナルのバイエルン×バルサを観ていても思ったのがそれです、ペップがいなくなってバルサは、だんだんとあの美しい「機能している流動的なポジショニング」が消えて、力任せな「機能していない流動的なポジショニング」に傾いている。そんな印象が強い。

 そして我が代表ですよ。前半の3-4-3が話題を呼んでいますが、あえて言うと今の代表で3-4-3とか4-2-3-1とか論じてもあまり意味がないと思っています。なぜなら試合中にその布陣がピッチに描かれている事がほとんどないからです。制限の無い「流動的なポジショニング」が繰り広げられています。

 前半の3-4-3は、ほぼ5-2-2-1だったし、後半の4-2-3-1も4-2はもっと動いてくれよって思うほど「流動的じゃないポジショニング」なのに、前の「3-1」は「前に選手が4人いる」という意味しかないほど「流動的なポジショニング」。

 この現象は突然このブルガリア戦で発生した訳じゃない。本田がいないから、でもない。僕が一番ヤバいなと思うのは、選手が一番綺麗にポジションを守って、4-2-3-1が綺麗に機能した試合が、ザック就任の初戦アルゼンチン戦だという所です。それ以来、アジアカップ、アジア予選、時間がたてばたつほど、この現象は強くなっている印象。どういうことか?だんだんと監督が、選手をコントロールできなくなっているという事じゃないでしょうか?

 就任した監督の初戦、そりゃ選手は言う事を聞くと思います。しかもそこでアルゼンチンを撃破という結果も出た。じゃあなんでそのサッカーを進化させる事ができなかったのか。3年前の当時、新鮮だったその言葉は、ユナイテッドで経験を積んだ後も、インテルで欠かせないサイドバックになった後も、ロシアで皇帝と呼ばれるようになった後も、同じように新鮮に聞こえるのか?もう僕はここにきてザックの言葉が、選手に届いていないんじゃと思っちゃいます。 

 変幻自在にポジションを代えながらも、そのフォーメションは変わらない。「代わってるのに変わらない」を魅せつけたバイエルンのサッカー。今回のCLファイナルを観終わり、この「混乱を組織する」という矛盾を成立させたチームが勝ち残る時代がきたんじゃないか。バルサ、スペイン代表、バイエルン、ドルトムント、最近結果を出す新たな攻撃サッカーの形はこっちの方向だと思いました。めちゃくちゃにハードルが上がったペップがバイエルンでどんなサッカーをやるか、楽しみです。

 できれば我が代表もその方向に進んで欲しいんだけど、いきなりそれを求めるのは厳しいのも分かってます。ザックはまず自分が採用する布陣にきちんと選手を配置して「混乱を落ち着かせる」ところから始めてほしい。

 ブルガリア戦後にザックは珍しくミーティングで激昂し、選手達に厳しい言葉を投げかけたらしいです。もうベンチで井端とケンカしたりして、身体を張って僕らをジョインさせてくれる中日の高木監督状態なんじゃ?という疑念への答えは4日のオーストラリアを相手に見せてもらいましょう。

 ほぼ確実にロングボール主体でくるだろう相手に、テストマッチも行い、どう挑むのか。もし選手の能力に頼って、「ケガ明けの本田の調子が悪くなければ」みたいな感想になる試合だったら、もうザックは限界でしょう。

 現在3位で勝ち点を取りにくるオーストラリアと、後2回負けてもほぼブラジルに行ける日本。その日本を見事にコントロールして采配できるか。サッケローニの正念場です。ではまた試合後に!


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