「クラシコにみる『MSN』の封じ方」fgo.99 

itch の Football goes on vol.99

「クラシコにみる『MSN』の封じ方」


フットピーポーよ!今週は2本立て!いや、あまりのクソ長さに前編、後編でお届けしたので実質3本立て!ヨーロッパのサッカーシーズンも佳境に入り、こっちもエンジンかかってまいりました!


という訳で今回は前回の「最強MSN」の続き、じゃあそんな「MSN」をどう封じればいいのか?というお話です。

実はそれは僕のオリジナルアイデアでもなんでもありません。先週末のクラシコでレアルが敵地で実行したアイデアなんですけどね。


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カンプ・ノウで絶好調のバルサが、調子を落とすレアルを迎える。戦前の予想は「バルサ有利」という見方が多数だったと思います。

しかし試合で主導権を握ったのはレアルでした。

今のバルサと対峙するのに、その最大の脅威である「MSN」対策というのは必須科目になります。「MSN」のカウンターという脅威をうまく使い、三列目のポゼッションで安全に試合をコントロールしているのが今季バルサの基調だからです。

その脅威の「MSN」へのレアルの対策が逆説的で面白かったです。無視。どうせマークをつけたり人数をかけてもやられるのならば「MSN」の事は放置!直接的な「MSN」対策はもはや無効だとばかりに、レアルは「MSN」に対して直接的な対策を特別にとっていませんでした。

しかしその分「間接的な」対策に人とエネルギーを傾け、それが見事にハマり、結果多くの時間で「MSN」を無効化するのに成功した訳です。

それが今季バルサのもうひとつの特徴である「三列目のポゼッション」を狙い打ったプレッシングでした。

「De La FOOTBALL LIVE!」の試合前トークライブでも喋りましたが、バルサ不動のピポーテ、ブスケツは怪我でこのクラシコもスタメンから外れていました。代役はCLのシティ戦と同じく「アンカー」のマスチェラーノでした。

レアルはかなり意識的にマスチェラーノにボールを持たせました。ディフェンスラインからマスチェラーノへのパスは黙認。ただし、マスチェラーノにボールが渡った瞬間に、プレッシングを開始していました。

マスチェラーノはあくまで「アンカー」です。危険察知、カバーリング、1対1に関しては世界トップクラス。しかしスムーズにパスを引き出すポジショニング、即座に状況を判断して最適な場所にパスを配給する展開力、プレーが滞った時に一瞬で状況を動かすような意外性のあるロングパスを出す試合を読む感覚は、彼のプレースタイルには必要がない項目だったりします。

ピポーテじゃないアンカーにボールを持たせ、そこを狙い打ち。それを実行する事で「MSN」へ有効なパスの供給を断つ。それがレアルの対バルサの基本戦術だったように思います。

ボールを持てば驚異の「MSN」も、ボールを持たなければただの人。そういう理屈です。さらにいえば攻撃に特化した選手にありがちな、守備にあまり力を入れないという特徴を考えると、ボールを持たせない事に成功した時点で「MSN」は死に駒。ピッチ上から3人消えた状況を作り出す事ができます。

その点でスアレスは守備でも全力を出すタイプなので問題はありませんでした。この試合で穴になってしまったのは両サイド。特にメッシです。


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ボールが来ない事でメッシはポジションを大きく下げて、バルサの三列目にまで顔を出し始めます。それに呼応するようにマッチアップするマルセロはポジションを上げました。

高い位置でボールを持つメッシにマッチアップする不利さは、低い位置でボールを待つメッシに対しては有利へとひっくり返ります。ボールを持っている時は4年連続のバロンドーラ―。ただし守備に追われれば並みの選手以下の貢献度。上がってくるマルセロに対してメッシはほぼ制限を与えれませんでした。

しかもそのマルセロの前方にはそのメッシの連続バロンドール受賞を止めた男、クリスチャーノ・ロナウドが存在するわけです。

結果、レアルは再三左サイドからチャンスを演出。ダニエウ・アウベスはディフェンスラインに張り付けられ、ますます「MSN」は後方と分断されていきます。

そもそもメッシをCFポジションで起用する「偽9番」の生みの親、グアルディオラはなぜメッシを中央に動かしたのか。

よりゴールを狙える位置に置く。危険なバイタルエリアに核弾頭を設置する。そういった狙いももちろんあったでしょう。

しかしマッチアップがセンターバック、つまり「守備を免除できる」ポジションにメッシを置き、守備という労働から解放するという狙いも同時にあったと、全員守備を実践するグアルディオラのサッカーを観ているとどうしても考えてしまいます。

それをルイス・エンリケは戻した。そしてその綻びをアンチェロッティは狙った。「MSN」への有効なパスを断ち、その穴を突く。

特にモドリッチが素晴らしかったです。その切り裂くようなパスはもちろん、パス回しを読んで的確に行うプレッシングが素晴らしかったです。イスコも健闘しました。ラキティッチ、メッシのラインを分断すべく奮闘。そのミッションは成功していました。

セルヒオ・ラモス、ペペも有効なパスは断たれているとはいえ、「MSN」とほぼ1対1を強いられる状況の中で仕事をしていたと思います。

繰り返しますが論理的に試合を支配していたのはレアルだったと思います。やはりサッカーとは個人競技ではなくチーム競技。圧倒的な個も、組織的な戦術で対抗する事ができる競技だと。


しかし、されど、「MSN」。


あの何でもないパス、いやパスにすらなっていなかったただ放り込まれたボールを、激しくプレシャーを受けながらも、一発でチャンスに結びつけるスアレスのトラップ。そこからゴールを見ずに振りぬいて左スミを射抜くあのシュート。

あらゆる論理、組織的な戦術を一瞬のプレーで無効化してしまうのも、結局は個の能力だったりするんです。


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つくづくサッカーって「不完全な競技」だなって思います。「未完成の競技」って言い換えてもいいです。まあだからたまらなく面白いんですけどね!

試合は2-1で落としましたがレアルは胸を張っていいと思います。ここからの復調もありえる素晴らしい敗者でした。そして10回あっても1~2回しか決まらないであろうスーペルゴラッソで勝った今季のバルサにはまだまだ隙があるな、と。

まあ後半にはブスケツも復帰しましたし、「MSN」の完成はついこの間の話。チームとしての成熟が進むこれからのバルサは、はたして「MSN」という強みをどう活かしていくのかに注目していくと面白いと思います。


さて、金曜日にはついに新生日本代表ハリルジャパンの初戦が行われますね。という訳でヨーロッパサッカーモードは一旦お休みして、今週末は代表モードで行きますよ!

ハリルは「モダン・オシム」なんて言われているみたいですが、そのサッカーをとくとみせてもらいます!そして来週の火曜日31日には、「De La FOOTBALL LIVE!」第二弾!「日本×ウズベキスタン」のライブビューイング開催がなんと緊急決定!(詳細はhttp://delafootball.wix.com/delafootballliveをチェック!)

ガッツリ初戦を観て、ハリルジャパンとは?というテーマで当日はトークライブを行いたいと思います!いったいどんなサッカーをするのかまだまだ謎が多く、手探り状態な状況な中、みんなであーだこーだと代表戦を観るってかなり面白いと思いますよ!

平日深夜開催ではなく、仕事帰りにピッタリな19:30キックオフ!ぜひともみなさんで盛り上がって注目のハリルジャパン第二戦を楽しみましょう!

そんな訳で次回はハリルジャパン初戦の分析を行いたいと思います、それでは!

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