CL決勝前必読!ポストポゼッションサッカー時代(その4) fgo vol.110 

itch の Football goes on vol.110
ポストポゼッションサッカー時代 その4


現代サッカーの戦術トレンドの歴史をを読み解くシリーズ「ポストポゼッションサッカー時代」の第4弾いきましょう!

前回では「ポゼッションサッカー」と「対ポゼッションサッカー」の対立構造の流れをおおまかに説明しました。そしてその流れにそった対決が今季のCL決勝バルサ×ユベントスであると。

おさらいすると「ポゼッションサッカー」と「対ポゼッションサッカー」はポゼッション対プレッシングがメインの対立になっているという話でした。分かりやすくいえば「バルサ対ドルトムント」だと。

その流れの中に現れたのがもうひとつの「対ポゼッションサッカー」である「カテナチオ」です。

イタリア語で「かんぬき」を意味する「カテナチオ」とは、自陣ゴール前を人数で埋めて固め、そこからカウンターを仕掛ける「後陣速攻」戦術です。

ドルトムントの「前陣速攻」は、前がかりに相手ゴールに近い位置でプレッシングを行い、奪った勢いそのままに相手ゴールを強襲するスタイル。要するにボールを奪う、守備の網を引く位置の違いですね。

「カテナチオ」発祥の地であるイタリアは、その守備戦術を駆使してW杯を4度制覇しています。しかしあまりに守備的な「カテナチオ」は、攻撃サッカーに傾倒する現代サッカーにおいて衰退。その生みの親であるイタリアでさえ「脱カテナチオ」を宣言する事態になっていました。

しかしその時代遅れの「カテナチオ」が、あろうことか攻撃サッカー大国スペインで突如復活します。シメオネ率いるアトレチコマドリーです。

シメオネが就任した頃のアトレチコマドリーは、古豪としての伝統だけがある中堅チームにまで成り下がっていました。

そんなチームに現役時代そのままの闘将として現れたのがシメオネです。当時のアトレチコは借金を抱え、自軍の選手を切り売りしてなんとかやりくりをしている状況でした。予算不足からスター選手を多額の移籍金で獲得する事などできません。

シメオネの方法論はシンプルでした。我々はレアルやバルサのような貴族ではない。労働者だ。全員で汗をかいて、全員で戦って、恵まれた貴族たちに一泡吹かせよう。

そしてシメオネが採用した戦術が「終わった戦術」とされていた「カテナチオ」だったんです。

「カテナチオ」は後陣速攻戦術です。確かに危険なゴール前のバイタルエリアを人で埋めれば失点のリスクは減りますが、そこから遠い相手ゴール前まで攻め上がり、ボールを失えば直ちに自陣ゴール前まで戻る、その繰り返しは凄まじい消耗度です。

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徐々に選手の足は止まり、前線と最終ラインは間延びし、スカスカの中盤は相手の使い放題。自陣に釘づけになり、必要以上に相手のポゼッションを上げてしまうワンサイドゲームになりがちです。

実はこの「カテナチオ」を最初に「対ポゼッションサッカー」として採用しだしたのはモウリーニョが先でした。インテルで「カテナチオ」を使いCLを制覇しています。

しかしそのモウリーニョですら消耗度の高い「カテナチオ」を持続させる事ができず、最終的にはプレッシングとの併用に流れていきました。

しかしシメオネはその「カテナチオ」の泣き所である消耗度の高さを、チーム全員が例外なくハードワークすることで成立させてしまいます。

点を取る役割のストライカーであるファルカオ、ジエゴ・コスタですら例外はありません。全員がまず自陣で相手を待ち構え、ライン間の距離をキープさせ、90分間間延びさせない。

旧来の「カテナチオ」では重労働を免除されていたストライカー。それが逆に穴となり相手の一方的な攻撃を生んでしまっていましたが、シメオネのアトレチコでは逆にツートップが一番キツいポジションです。

相手ボールのたびに自陣まで戻る事が義務付けられ、相手のピポーテにしつこいプレッシングをすることが求められます。もちろんマイボール時には自陣から相手ゴールまで殺到する事も求められます。

しかし初期設定に無理があるので、流れの中からはどうしても点がとれなくなりがちです。そこでゲームの流れとは関係なく点が奪えるセットプレーに全力をかたむけます。

そうして「カテナチオ」を成立させてしまうと、面白い現象が起こりました。


ビッククラブもスモールクラブも基本的に「ポゼッションサッカー」に染まりきるリーガで、アトレチコマドリーは次々と勝ち点をあげていくんです。

ついにアトレチコは「カテナチオ」でリーガ制覇を成し遂げてしまいます。

その有効性は決してリーガ限定ではありませんでした。CLの舞台においてもアトレチコは決勝へ進出する事にも成功します。

シメオネの「カテナチオ」とは、要するに「カテナチオ」の最大の利点である安全性を確保しながら、構造的欠陥をハードワークで最小限化させる、というものでしょう。

中途半端な「カテナチオ」は「ポゼッションサッカー」の格好の餌食ですが、突き抜けた「カテナチオ」はいまだ有効であることをシメオネは証明しました。

そしてそれに続いたのが、今季のファイナリストであるユベントスです。

現役時代にシメオネとおなじく「潰し役」だったコンテが、ほぼ同時期にイタリアの名門に就任しました。

面白い事にコンテもまたシメオネと同じくハードワークをベースに、ユベントスに伝統の「カテナチオ」を復活させます。

コンテの「カテナチオ」の方が、さすがはカテナチオ母国だけにより純度が高く、4バックを多用するシメオネよりもさらに後方中央をガッチリ固める3バックを採用していました。

しかしこのサイドを捨てた実質的に5バックである3バックはやり過ぎでした。サイド攻撃に乏しいセリエAでは通用しても、逆にサイド攻撃がメインとなりつつあるヨーロッパでは通用しませんでした。

そのコンテの「カテナチオ」にバランスをもたらしたのが現指揮官のアレグリです。


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アレグリは当初は選手が慣れている3バックを採用しましたが、徐々に4バックへ移行。ドメスティックなものからヨーロッパナイズされた「カテナチオ」に移行する事に成功しました。

「カテナチオ」は「対ポゼッションサッカー」戦術の中では少数派です。しかしそれが故に、「対・対ポゼッションサッカー」化しているバルサにとっては、もしかしたらもっともやっかいな戦術かもしれません。

今季のバルサは「対ポゼッションサッカー」対策として速攻を多用します。プレスの網を避ける為にロングボールも多用します。

前がかりになってしまうプレッシングの弱点を突く形です。押し上げられたディフェンスライン後方に広がるスペースを「MSN」で狙い撃ち。そのスタイルでリーガ、CLで得点を量産しています。

しかし「カテナチオ」には後方に広がるスペースは存在しません。ユベントスを相手にバルサは今季最大の武器が封印された状態、といえます。

現に今季のバルサは、リーガで徹底的に引いてきたチームに対して取りこぼしています。ペップバルサの時には得意にしていた、引いた相手に対しての圧倒的な「ポゼッションサッカー」はもはやありません。

今季ファイナルは「ポゼッション」×「対ポゼッション」という、近年続いてきた対立軸に新たな局面をもたらす対決になる。その流れが掴めてもらえたでしょうか。


CLを観ていてつくづく思うのが、サッカーという競技がいまだ完成していないという事です。


例えば野球。内野は5人、外野は3人、フォーメーションはもはや完全に決まっています。


おおよそ100m×70mのスペースに11人を配置し、手を使わず相手ゴールに多くボールを入れた方が、勝ち。サッカーとは誕生してから様々な変化、流行がありつつも、そのあまりの自由さに、いまだ「これだ」という完成形が無い不思議な競技です。

でも、だからこそ面白いんです。完成してないからこそ、ペップバルサのような突然変異のウイルスのような対処できないチームが突然現れる事もある。

世界最高レベルのチャンピオンズリーグではそれが現在進行形で確認する事ができます。いま、世界のサッカー界で、何が起きているのか。


それを知らずに世界一の国を決める戦いであるワールドカップに挑むのは、地図を持たずに大海原に漕ぎ出すのと同じだと、僕は考えています。


スターがひしめく華々しいCLの舞台と、サッカー日本代表はつながっています。ワールドカップとは、そのスター達を倒しにいく戦いです。

世界のスター達の夢のようなプレーに酔いしれるその頭の片隅に、どうしたらこの人達を倒せるのか、そんな風にCLを観戦するとより興味深く、そしてより身近に、楽しめるんじゃないでしょうか。


ワールドカップへの戦いがいよいよ6月から始まります。アジア3次予選です。


CL決勝はその戦いに持ち帰れる物がたくさんあるはずです。はたして今年はどんなサッカーの歴史が更新されるのか?そこはやっぱり生で!みんなで!盛り上がって観戦しときましょう!


幸いにCL決勝はウィークエンド、土曜日開催です。翌日は日曜日、心配は無用!今年はあんまり観てないんだよなあ、なんて人も大丈夫!我々の仕掛ける「De La Football Live!」は「みんなで楽しく」がモットー!ばっちり同時解説させてもらいますから!


そんな訳でいよいよ迫ったCL生観戦イベント「De La Football Live!」ファイナル!フットピーポー達よ!会場の栄「imiri」で待ってるぜ!


詳しくは詳しくはイベントHPをチェック!(ココ→http://delafootball.wix.com/delafootballlive)ではでは~会場にて!


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